男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

アニメのアレは……

『ミステリック・サイン』『孤島症候群』を読み終わり、また一冊読み終わりました。個人的には猛烈に早いペースです。ふふふ。

『ミステリック・サイン』はアニメ化されたさいの、カマドウマが一度カナブンみたいなのに回復されるシーンが笑えただけに、そこが小説にはないのが残念でした。まあ、あれは完全なる遊びだったので、原作にはなくてもいいですけどね。

問題は『孤島症候群』。これはアニメとは構成から細かい部分まで大きく異なり、アニメを先に観ていると興味深い点が多かったです。

最初にクライマックス部分の序盤を持ってくる構造は掴みとしては効果的で、なかなか引きつけられました。時系列通り描かれるアニメの方は前編後編に分かれて放送されるのが前提としてあるので、掴みの部分はそのままブリッジとして利用している訳ですね。これは実にスマートなやり方だと思います。
そして、小説ではキョンの鞄に入って密航しようとする彼の妹は一発ギャグでしたが、アニメでは付いてきます。付いてきたからと言って構成上別段殆ど意味はないのですが、飲酒のシークエンスを削除するためのエクスキューズとしては非常に上手く利用できています。
小説では二晩続けて一同が飲酒で大暴れするくだりがあり、特にキョンハルヒが何か恥ずかしいことをやったらしいという描写は一人称ならではのごまかし方で上手かったなあ。気になるし。

いちばんの変更点は、台風の中をキョンハルヒが船を観に行くシークエンス。小説ではすぐに別荘に戻ってきてしまうが、アニメでは崖から落ちた二人が洞窟で雨宿りするという、なかなかのサービス・シーンが盛り込まれる。もちろんそこにはハルヒが謎の開陳を思いとどまるシーンを移行して無駄にはしていないですし。
で、
いちばん興味深いのは、ハルヒが見かけた何かの人影。小説ではまったく存在しないエピソードなので、もしかしたらこれから読むシリーズに種明かしがあるのかもしれないのですが、アニメではキョンのエピローグで「残された謎」というエピソードになっている。あれはちょっとした寒気を味合わせてくれるお気に入りだった。あれがあるのとないのとでは、全然作品の質が違っていて、後から作ったという有利はあるとしても、個人的にはアニメの方が断然面白かったです。
あのノイズ感は実にミステリアスで、いやな余韻を生んでいました。

さあ、次はいよいよ『消失』を読もうと思います。