男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

プログラム55『ヘルナイト』

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今観ても色褪せない傑作

というわけで、昨日のバーニングに続いて、今晩はヘルナイトいきます!


製作総指揮にチャック・ラッセルね。


意外と伏線がしっかり張ってあったり、前半全く殺人鬼の出る気配さえないあたり、なかなか質が高い。そもそも美術や演出にチープさがない。バーニングとは打って変わってw


舞台となるガース館の美術が実に良い味だしてる。バイオハザードの洋館も影響を受けてるかもしれない。


いきなり始まる第一の殺人! 問答無用の首チョンパ


この映画が他の殺人鬼映画と違う理由が分かった気がする。この映画ってどちらかというと、モンスター映画なんだな。そうすると、同じ理屈の悪魔のいけにえに通じる物があるかも。


個人的に大好きな「懐中電灯ショット」 この手のカットは俄然緊張感がある。

(ちなみに、個人的「懐中電灯ベストショット」は『プロフェシー恐怖の予言』ね。まあ、あれは懐中電灯じゃなくて車のライトだけど)


庭のシークエンスで殺人鬼の位置関係のこけおどしが、実はクライマックスの大仕掛けの伏線になってるあたりは巧妙。ほんと、あれはビビらされるよなあ。掟破りだけど。


お約束の殺人鬼の視点ショットからの、ポンと引いたカットで殺人鬼が覗き込んでいる秀逸な演出。ありそうでなかった素晴らしさで、ゾクッとさせられる。


無造作に置かれてる押収された銃器に苦笑するが、こういう記号が成り立ってしまうアメリカはヤバいw ナンパだったセスが仲間のために単身館に戻る展開に燃える


会話している2人の背後で静かに盛り上がるカーペット。こけおどしだけに頼らない今作の中でも屈指の怖いショット。これはヤバい。


そして地下! 館モノの面白さを詰め込んだ抜群の展開に!


やはり悪魔のいけにえの影響が色濃い地下室でのショックシーン。死体が晩餐してるカットからの、殺人鬼襲来→トンネルのチェイスは燃えざるを得ない素晴らしさ。


大仕掛けのショックから続く完璧なショックシーン。階上のショットからパンしてのワンカット処理でこれ以上ないタイミングで襲いかかる殺人鬼! 全中学生の心臓をえぐり抜いた超傑作ショット。

ネタバレになりますが、この映画最大のポイントとなる掟破りの大仕掛「殺人鬼が二人組だった」によるショックは尋常じゃない。もちろん今観るとセスが後ろから襲われるカットなどは「予定調和」カットだったりしてモロバレなんですが、この後リンダ・ブレアが逃げるシーンでちゃんと殺されたもう一人の殺人鬼がそのまま死んでいるカットが入るのが秀逸。「実は生きていました」というこの手のお約束を敢えて覆す志が抜群。


殺人鬼の断末魔。キッとカメラ目線になるのがすごくいい。


クライマックスの畳み掛けも見事。門の鍵の処理や、柵が壊されている事のサスペンス、そして、「父親の自動車修理工場を手伝っていたから」という、ヒロインの伏線としては容認不可能なスキルが活きる、まさかのエンジン再起動! 燃えますねえ!


久々に観直したんですが、やはり傑作ですね。

「この手の」映画としては奇跡のように緻密で破綻の少ないシナリオと、スウェーデン出身のマック・アールバーグによる陰影に富んだ撮影、ホラー映画ならではのチープさも散りばめつつ、要所要所でサスペンスを盛り上げるダン・ワイマンの音楽、そしてフィルモグラフィーからは想像もつかない演出力を発揮したトム・デ・シモーネ監督などなど、101分という「この手の」映画にしては長すぎる上映時間を全く飽きさせなく観せてくれます。

いやあ、すっかり堪能してしまいました。やはり80年代ホラーと一括りしては正常な判断はできないわけで、キチンとした傑作もあるもんです。