男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ビッグ』★★★1/2

子供の願望をすべてかなえるお伽話

トム・ハンクスを一躍スターダムに押し上げた名作を今更ですが鑑賞。

当時はスピルバーグの妹さんが脚本を書いているという認識でしたが、共同脚本にゲイリー・ロスが加わっているのが納得。

大好きなニューヨークが舞台ですが、まだ治安の悪さが残っている描写も時代を感じさせてくれますね。ホテルでハンクスが『フレンチ・コネクション』を観ていて、スイッチを切っても銃撃戦の音が窓の外で続いているというギャグなんかもあります。

「子どもが大人になる」というファンタジックなプロットとは別に、ニューヨークでトントン拍子に出世してしまうという大人のファンタジーとしても楽しめるのがポイント。そのトントン拍子さの説得力をほとんど役者の力に丸投げしているのもなかなか面白いところであり、これぞアメリカの現代的ファンタジーだなあと納得してしまいます。

トム・ハンクスはもちろんなんですが、ジョン・ハードの中身空っぽのヒールさ(お前のほうがよほど子供っぽいというね)、『オーバー・ザ・トップ』のクソオヤジでおなじみにロバート・ロッジア演じるおもちゃ会社の社長の説得力は抜群です。

特に名シーンとして挙げられる足踏みピアノでチョップスティックなどを弾く場面は、トム・ハンクス一人の力ではなく、ロバート・ロッジアとのハーモニーが文字通り効果を発揮しています。そりゃ大抜擢するよなというw

そして、最初は鼻持ちならない女性として登場するヒロイン。演じるエリザベス・パーキンスの可愛いこと綺麗なこと。

この映画で一番気に入ったところは、「セックス」から逃げなかったことです。

13歳の男子がおとなになったら100%「セックス」のことのみなのは間違いないんですが、お伽話の性質上そこははぐらかしても別段問題はないはずなのに、この映画はキチンとその欲望も描くんですね。冒頭から気に入った娘との描写があったあと、エリザベス・パーキンスと出会ったシーンでも思いっきり胸元をガン観するトム・ハンクスの描写があったりします。

最初の夜こそトランポリンや二段ベッドを使った「大人ギャグ」を使って非常に上手くはぐらかしますが、二度目のデートからはキスからちゃんとセックスに至るまでが描かれます。

このシーンでのトム・ハンクスのおっぱいの触り方と触った後の「手のやり場の無さ」が最高。『フォレスト・ガンプ』でも見事な「大人童貞」芝居を披露したトム・ハンクスですが、ここでもどう考えても子どもとしか思えないぎこちなさを披露してくれます。

この映画の良質なところは、終盤になって「大人に順応し始める」あたりですね。

大人になってこの映画を観ると、「ああ、実は大人向けの映画」なんだなと納得できるのがここら辺りです。子供時代の親友との仲が段々疎遠になってくるアタリもやたらとリアル。でたらめだった服装もちゃんとキチンとしてくるあたりも。

そして、一番のポイントは大人のヒロインが子どもに戻ることを拒否する部分ですね。「一度で充分」と。ああ、これは大人の映画だなあと。

なので、子どもに戻った主人公を見送ったヒロインが車で去っていくショットで終わるのは実に腑に落ちるエンディングなんですよね。


そういえば、トム・ハンクスが一番凄いなと思ったのは、朝起きて鏡を観たらトム・ハンクスになっている場面で、最初「なわけねーだろ」という感じで苦笑して顔を洗い始めるんですよ。あそこは最高でした。普通「!!!」ってな感じで大慌てが始まるのに、あそこでワンクッションおくってのが凄い。勿論その後は期待通りのハンクス大慌てが始まるんですがw

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バリー・ゾネンフェルドの撮影を観るたびに「ああ、撮影監督に戻ればいいのになあ」と思ってしまったりします。『恋人たちの予感』もそうですが、この人はニューヨークを撮るのが上手い。

ソウル・バスがオープニング・クレジットを担当していたり、音楽がハワード・ショアだったりして、結構意外なスタッフが関わっているんだなというのも驚きでした。

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ブルーレイに収録されているというロング・バージョンも観たいので、早速注文しました!!

30分ぐらい長くなっているので、単純に興味深い。