男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ダイアリー・オブ・ザ・デッド [Blu-ray]

ちょっとなあ……

ロメロのリビング・デッド・シリーズには随分お世話になっているし、『ランド・オブ・ザ・デッド』もそれなりに楽しめたのですが、最新作であるこちらは正直「……」でした。

流行りの主観映像映画なのですが、他の作品と違ってこちらは「編集を施された完成品」として構成されています。それはそれで間違いではないと思うのですが、ナレーションが入ったり、「効果を考えて音楽を入れています」とか、何だか言い訳臭い方便が目立ちます。音楽を入れるって言うのも、こけおどしのショック音楽が殆どだったりしますので、ロメロの限界を垣間見たような気がします。実際ショックシーンは全部こけおどしですし。いや、『ゾンビ』とかだと充分こけおどしでもアリだったのですが、この作品ではそれほど上手くいっていない上に、手法が明らかに「古くさい」。観客が充分予測できることしか起きないんだもんなあ。

その他にも、ロメロならではの「文明批判」もイチイチ鼻につく。昔はもっとスマートだったと思うんですけど……

かつてのリビング・デッド・シリーズには、ゾンビが居ないシークエンスでも常に緊張感がみなぎっていたのですが、この映画にはまったくそれが感じられない。

登場人物の行動にもまったく納得できるモノが感じられないし、前半の映画撮影のくだりが終盤で本物になったりするあたりは「失笑」を禁じ得ない。

また、役者陣の芝居も明らかに芝居がかっていて、主観映像映画に必要不可欠な「リアリティ」がまったく感じられません。シナリオにしても保安官のゾンビが襲ってきたときに「免許証の提示を求めてるんじゃなさそうだぜ!」とか、余計なユーモアは必要ないと思います。

ロメロのやろうとしていることは朧気に理解できるんですが、明らかに演出力が落ちているとしか思えません。

楽しみにしていただけにショックでした……