男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

宇宙戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

絶望感満点のスリラー

スピルバーグ監督の”悪夢体感映画”。同様の『プライベート・ライアン』と一緒に届きました。

●この映画の素晴らしいポイント

  • 原作通り主人公の一人称としてのスタイルを採用し、周りの情報は原則的に描かれない。この手法は2年後の『トゥモロー・ワールド』でも採用され、やはり普通ではない臨場感を生み出していた。
  • トライポッド出現シークエンス。効果的な俯瞰ショットのインサート、人間の視点である極端なアオリのショット多用、1カット処理(実際には3つのショットをつなげているが)で展開する大殺戮大破壊。
  • 驚愕の1カット処理で描かれるハイウェイを疾走する車のシークエンス。道路スレスレで車をフォローしていたカメラが車の横から正面に回り込んで、車内の芝居をとらえた後ふたたび横に回り込んで再度芝居をとらえ、また道路スレスレを一緒に疾走したかと思うとまたまた車の正面に回り込んで車内の様子をとらえ、そのまま走っていくカメラをロングでとらえるところまで1カット処理。
  • えげつない地獄絵図が展開するフェリーのシークエンス。背後の山にいつの間にか現れるトライポッドとそれに気付く人間たちのカットバック処理が素晴らしい。フェリーが転覆して、水没する車の中におぼれていく乗客が乗っているスピルバーグ節。


原作を読んでいると、かなりキチンと映画化していることが分かり、それゆえ「ラストがあっけない」とか、「全然宇宙戦争じゃない」とかいう批判は的外れ。H.G.ウェルズの傑作を現代的に再現しつつ、9.11以降のドシリアスな絶望感をまぶし、スピルバーグお得意の残酷風味で料理した傑作だと思います。

ほんと、こんなの撮れるなら絶対に『ゴジラ』も監督して欲しかったなあ。どんな傑作にしたんだろうと思います。

画質はヤヌス・カミンスキー独特のザラザラした味わいを再現しつつ、細部のディティールも明確。暗部の表現も適切でダークです。ロスレスはオライポッドの雄叫びや出現シーンの破戒音で重低音が大活躍。炎の中から現れるトライポッドや水中から出現するトライポッドなどのシーンでも迫力満点。