『戦場のメリークリスマス』を久しぶりに観ました。
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大島渚監督追悼企画としてWOWOWで放送されたものを、奥さんの希望で久しぶりに観ました。
20年ぶりぐらいの再見ですが、結構細部まで覚えていました。もっとも、あの独特の筋運びやシーン毎のテイストは、当時よりも味わい深い。当時は「なんだか変な映画」というぐらいの認識だったのですが、今は大島渚がやろうとしている事が少しは感じ取れる。そして、たけしがこの映画の出演がきっかけで演出に興味を持ち始めたという話もなんとなく理解できる気がします。
今観ると様々な人が出演しており、それを観るだけでも楽しめてしまう側面も面白い。内田裕也がとても軍人には見えないロケンローラーそのままなのも、リハーサルを好まない監督の狙い通りなのではないでしょうか。
それにしてもデビッド・ボウイのかっこ良さには驚かされます。有名な坂本龍一の頬にキスをするシーンでは、彼が歩き始めるだけでそのカッコヨサに痺れました。クリント・イーストウッドとソックリな歩き方で、彼の歩き方が子供の頃から大好きな人間としてはこたえられません。しかも、そこにかかる坂本龍一の音楽がまた素晴らしい。
言うまでもない名盤。今でもよく聴き直すので、映画よりもこちらの印象のほうが強いぐらいです。
有名なラストシーンも、この音楽のイントロが流れ始めただけで涙腺が緩むほどです。
いつも思うんですが、カーペンターのように自分で音楽を作ってしまうような監督以外は、音楽が素晴らしいものになるかどうかは賭けみたいなもんだと思うんですよ。しかも、それは作品そのものの成否を大きく左右するわけですし。キューブリックがクラシックを使ったり、一部の監督が音楽を使わないようにしたり、タランティーノのように既成の音楽をコラージュしたりするのも、そういった賭けを避けている部分もあると思うんですね。
そう考えると、坂本龍一がこの音楽を作ってきた時の大島渚監督の気持ちってどんなもんだったんでしょうね。まあ、意外に当人にしてみれば「こんなのどこで使えばいいんだよ?」とか考えてたりしそうですけどね。ははは。
スピルバーグはジョン・ウィリアムズに『ジョーズ』のテーマを初めて聴かされた時は「冗談でしょ?」と全く理解できなかったそうですし。