男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

丹波哲郎東宝パニック三部作『日本沈没』を観ました

丹波哲郎主演の東宝パニック三部作の一作目である『日本沈没

当時物心ついていない年代の僕ですら当時の「空前の社会現象」は伝え聴いているぐらいです。大昔に新書版の原作を買った時は、奥付の「248刷」という表記に度肝抜かれたもんです。こんなのドラえもんぐらいしか見たことがなかった。

映画自体は子供の頃観たきりでしたので、かなり新鮮に観ることが出来ました。子供の頃は当然藤岡弘、に感情移入して観ていたわけですが、今回ももちろん丹波哲郎に引きつけられてしまう結果に。これはもうしようがない。丹波哲郎なんだから。

未曾有の大災害(この文字通り未曾有の大災害としか言いようのないプロットが素晴らしい)に直面することになる日本国首相なんて、どう考えても演じられるのは丹波哲郎だけだし、国民や世界各国を説得できるのは丹波哲郎しかいない。観ていてこちらもすっかり盲従するのみ。

有名な「100人、いや1人でも!」のシーンや、皇居の扉を開けて避難民を受け入れるよう決断実行する場面、そして亡き妻の遺影を前に「平凡な首相で終わると思っていたのに」と皮肉交じりに呟きながらも決意を固めるシーンなど、丹波哲郎の素晴らしいシーンに総て胸打たれましたよ。

黒澤明の助監督をやっていた森谷司郎監督の「とんでもないことが起きている感」の演出はなかなか素晴らしく、要所々々でのモブシーンなどにも黒澤明仕込みの圧力が感じられる。

特撮部門も素晴らしく、中でも火災に追い詰められた避難民が消し炭になってしまう描写など強烈。

小松左京のシミュレーション小説を脚色した橋本忍も持ち味である時系列の錯綜などのテクニックを封じて、ジワジワと天変地異が迫ってくる予兆を積み重ねていく手法がいい。

原作ともども日本で大ヒットを記録したのも素直に頷ける力作ですね。


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