男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『007は二度死ぬ』を観ました

12月には新作『スカイフォール』の公開が控え、今月は全作ブルーレイBOXが発売されるということもあり、久々に007熱が高まってきている今日この頃。

やたらと各作品の解説が詳細なwikipediaを観ているとますます観直したくなりました。何年か前にWOWOWで全作ハイビジョン放送を録画してあったので、そちらから今日は『007は二度死ぬ』を。

テレビで放送したものは何度か観ていましたが、ノーカットノートリミングで観るのは初めて。wikipediaによると『ショーン・コネリーが唯一海軍の征服を着て、しかもタキシードを着ない作品』『慰めの報酬以前で唯一「My name is Bond.James Bond」のキメ台詞がない』『イギリスが登場しない唯一の作品』などなど、かなり異色の作品であることが分かります。しかも日本人にとっては当然舞台が日本であることも重要な要素。007は各作品で世界中を回るわけなんですが、多分その国々の感覚もこんなんなんだろうなあという苦笑が味わえること請け合い。

とはいっても、そこは007ですよ。普通の映画を観るような感覚で観るのは野暮もいいところ。007を観るときはキチンと「007チャンネル」に脳を切り替える必要があります。


監督はルイス・ギルバート。007はこのあと『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』を作って、大作路線を決定づけた人でもあります。この作品も日本が舞台のある意味のんびりしたムードの中に、唐突に宇宙船の強奪騒動と世界大戦の危機なんていうスケール大きな事件が絡んでくるという後の007らしい雰囲気が全開に出ています。これは彼の持ち味なのかもしれません。脚本として参加したあのロアルド・ダールの持ち味かもしれませんが。


何れにせよ、ケン・アダムによる超おおがかりなスケールのセットや、初めて顔面が登場するプロフェルドの禍々しいメイク(子供の頃結構トラウマ)、ピラニアに食べられる女性、などなど子供の頃に印象深い007らしさがタップリ楽しめる娯楽作品でした。

丹波哲郎はテレビでは自分で吹き替えていたので全然違和感なかったのですが、英語の吹き替えは軽くてちょっと残念。でもちゃんと台詞を英語でしゃべっているので口はピッタリ。若林映子は実は浜美枝よりもクレジットは上ですし、キャラクターとしても2/3は登場していますので、正式には彼女がメインのボンドガールという感じなんですが、やっぱりラストでいちゃつく相手がメインなのかもしれませんね。常に登場する女性がビキニか着物ってあたりも記号感バリバリでホント面白い。面白いといえば、Mの部屋がちゃんと原子力潜水艦の中に作られていて、秘書のマネペニーも付いてきていることでしょうか。あの感覚こそ007そのもの。確かMの部屋ってエジプトにも平然と作られてましたよね。

そして、いったんこの作品でボンド役を降りるショーン・コネリーの存在感がたまりません。続く『女王陛下の007』が作品の質は非常に高いのに興行的に苦戦したというのも、うなずける話です。ほんとにふてぶてしい雰囲気が他のボンド役者にはない無二の特色で、平気で突然暴力をふるったり、人を殺したり、目の前で今まで寝ていた女性が死んでも次のシーンでは平気な面をしている感覚は素晴らしい。子供の頃はそれゆえに結構苦手なボンドだったのですが(ロジャー・ムーア世代というのもありますが)、今ではショーン・コネリーの魅力にイチコロです。また、ショーン・コネリーの存在そのものが醸し出すユーモアも大変面白く、さんざん逃げまわったのに、後ろから現れた雑魚に一撃で気絶させられて拘束とか、女性に誘われてノコノコ歩いて行ったら落とし穴に落ちてしまうとか、「それでもスパイかよ!」と全力でツッコミを入れたくなる展開がとにかく面白い。それはその後のシーンでショーン・コネリーが平然と「まったく危機感がない」素振りでそこにいるからなんですよね。いやあ、ショーン・コネリーは素晴らしいよ。

ナンシー・シナトラの唄う主題歌が大好きで、歌だけはよく聴いていましたが、モーリス・ビンダーのタイトルバックがまたまた日本を意識したものになっていて楽しい。そんなに芸者が好きか。

そうそう。途中で丹波哲郎ショーン・コネリーが一緒にお風呂に入るシーンもかなり大笑いでした。三人がかりで体を洗われるボンド。完全にソープランドと勘違いしている。「日本ではお風呂は男が先で女があとだ」

ショーン・コネリーが日本人に変装する(した気になる)展開も無茶苦茶面白い。基本ただ単にカツラが黒髪に変わっているだけなんですが、無意味にでかい手術室のようなセットで女三人がかりで変装させられる。また女三人かよ。「あそこも黒く染めるのか?」「私達だけの秘密にしましょう。うふふふ」

姫路城の空撮では僕が生まれ育った家あたりも映っていたりしてちょっと衝撃です。それにしても姫路城をあれだけ遠慮無く使ってればそりゃ怒られるよな。まあ、その姫路城の池で溺れかけた人間が言う台詞ではないんですが。