男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

これは拾い物『幸せのレシピ』★★★1/2

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冬の美しいマンハッタン

家の奥さんが観たいというのでブルーレイをレンタルしてきました。ホントTSUTAYAが旧作100円っていうのは夢のようですね。

再生していきなりシネスコだったので驚きました。ただ、奥さんとゆっくりと観るのでそのままテレビで再生。

キャサリン・ゼタ・ジョーンズが相変わらずキレイなんですが、奥さんが目当てだったアーロン・エッカートがまた安定した芝居で魅せてくれます。この人は『エリン・ブロコビッチ』のように子どもに好かれる大人の男を演じさせるとハマる。ケツアゴに濃いヒゲというアドバンテージを物ともせずに画面映えするんですよね。『世界侵略:ロサンゼルス決戦』でも映画をひとりで底上げしていたように、芝居も実に魅力的。『ダークナイト』でもヒース・レジャーばかりが注目されますが、彼の高潔さを滲み出させながらも、人間味溢れる名演も重要です。

そして、子役のアビゲイル・ブレスリン。『サイン』の女の子があっという間に大きくなってというお父さんのような目線になってしまいますが、実に可愛らしいチャーミングな女の子になっています。『ゾンビランド』では生意気な雰囲気も身に着けていましたが、この映画ではあくまでも母性&父性本能を刺激する子役を役割を完璧に果たしています。

冬のマンハッタンが魅力的に描かれているのも素晴らしく、スチュアート・ドライバーグの撮影がいい。勿論肝心の料理のしずる感も見事で、料理そのものの撮影はわずかながら、料理の手際や盛り付けなどの撮り方が実に「美味しそう」

重要な舞台となる高級レストランの厨房や冷蔵庫、口喧嘩を面白くみせる鏡張りのワインセラーキャサリン・ゼタ・ジョーンズのマンションの部屋、その螺旋階段、アーロン・エッカートのいかにもな倉庫を改造した家などなど、美術スタッフの仕事も見事。

フィリップ・グラスの音楽も、同じようなフレーズを繰り返すかと思えば、要所要所でコミカルだったり感傷的だったりして心地良い。

ポスターやジャケットなどのビジュアル・イメージだと、喧嘩ばっかりの二人がやがて恋に落ちるロマコメの王道みたいですが、実は交通事故で母親が死んでしまったアビゲイル・ブレスリンの預かることになったキャサリン・ゼタ・ジョーンズという結構重いメイン・プロットがあるので、肩の力を抜いてフフフフというタイプの映画ではありません。かと思えば、基本のプロットは上記のロマコメそのものだったりするのも面白い。予定調和の生み出す安心感は非常に心地の良いものです。

そして、監督のスコット・ヒックスが丁寧な演出を積み重ねる手法で、実に満足度の高い仕事でした。本当に細かいところが丁寧で、何度か音楽にのせてのモンタージュで省略する部分が気になりましたが、それもこの映画の全体的なトーンの中ではハマっています。キャサリン・ゼタ・ジョーンズが寝てしまったアビゲイル・ブレスリンにシーツをかけようとすると、その下にあったアルバムを見つけ、そこには母親との写真が……とか、両開きの扉の片方が開いていて、キャサリン・ゼタ・ジョーンズアビゲイル・ブレスリンが楽しそうに店を出ていく時、もう片方を開くとそこにアーロン・エッカートが立って笑っていたり。
中でもアーロン・エッカートが拒食症に陥ったアビゲイル・ブレスリンにスパゲティを食べさせるシーンが絶品。完全に予定調和なんですけど、その持っていきかたと、何よりそのスパゲティの美味しそうなことよ!!


料理がモチーフになっている映画ですから、随所に料理が登場して、そのどれもが実に美味しそうってのはやっぱり満足度が高い。更に山盛りになったパンケーキですら実に美味しそうですから。


オリジナルはドイツ映画『マーサの幸せレシピ』。こちらはhuluで配信されていたので続けて観てみようと思います。