男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ホリデイ』★★★

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ジェネオン・ユニバーサル (2012-04-13)
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上映時間135分。ユニバーサル、コロンビア共同制作。これだけだととてもロマンチック・コメディのデータとは思えないものですが、これが立派なロマコメ。

キャメロン・ディアズ、ケイト・ウィンスレットジュード・ロウジャック・ブラックという四人のキャスティングもちょっと考えると異様なメンツ。純粋なロマコメ俳優はキャメロン・ディアズぐらいじゃないでしょうか。それでも、四人ともキチンとロマコメの世界に溶け込んでいて見事なのです。

奥さんが以前ひとりで観ていて結構面白かったと言っていたものですから、今回二人で観てみました。

監督脚本のナンシー・マイヤーズという人は古いところでゴールディー・ホーンの『プライベート・ベンジャミン』の脚本なんかを書いているベテランさんです。フィルモグラフィーも実にわかりやすい作品が並んでいます。

お互いの家を取替えっこするという「ホーム・エクスチェンジ」。海外では利用者も多いというサービスが題材になっていて、男と別れたばかりのキャメロン・ディアズと、振られたばかりのケイト・ウィンスレットが衝動的にお互いの家を交換して休暇をすごす話。

この作品のキモは、アメリカ人のキャメロン・ディアズとイギリス人のケイト・ウィンスレットがそれぞれ異国の地で、それぞれのロマンチックな休暇を描くという部分でしょうね。これを交錯させて描いているので135分というロマコメとしてはありえないほどの長尺になっているのですが、観ている間はもっと観ていたいと思わせるほど魅力的な休暇だったので、個人的にはこの長尺には満足しています。

クリスマス前後の季節というのも個人的にはツボだったので、寒そうなイギリスと、陽気なロサンゼルスの対比も興味深かったです。

ジュード・ロウが珍しくまともな生身の人間を演じているのも好感度が高く、一見するとプレイボーイな風貌を逆手に取ったキャラクター設定も実に和む。まだまだ魅力がいっぱいだったころのキャメロン・ディアズのコメディエンヌぶりも堂に入っており、イギリスのパートは鉄板の作りになっています。転じてロマコメなんて全然似合わなそうなケイト・ウィンスレットと、お前のどこを突っつけばロマンティックなんてボタンがあるんだというジャック・ブラック。二人が登場するロサンゼルスのパートは、これが意外や意外に面白いのです。ロマコメらしからぬ二人とはいえ、そこはそれプロフェッショナルなので実に如才なくロマコメ芝居を堂々と演じているのです。ジャック・ブラックなんかはかなり無理している感じがするのですが、それでも持ち前のキャラを絶妙に活かしつつ、パロディ風に茶化すことなく溶け込んでいます。そして、アメリカ・パートのもう一つの収穫は「卑劣漢」でお馴染みのイーライ・ウォラックが隣人の老脚本家として登場して健在ぶりをみせてくれたことです。彼のキャラクターが絡んでくることで、アメリカ・パートだけでも普通に一本のロマコメになりそうな作りになっています。ダスティン・ホフマンもカメオで突然出てきて笑わせてくれますし(撮影場所の近くをたまたま通りかかっただけだそうです)。

ロサンゼルスの舞台がハリウッド、そして脚本家が登場し、ジャック・ブラックは映画音楽の作曲家という設定なので、昔の映画のネタも多く登場するのが映画ファンとしては楽しかったりもします。まあ、古過ぎてちょっと分からない話題も多かったのですが。


よく考えたら二本のロマコメを作ったほうが安上がりで収益もありそうなのですが、この二つがテンポよく絡みあって描かれるのはなかなか新鮮な面白さに満ちていました。


追記:

撮影は久々に名前を観たディーン・カンディー。イギリス田園風景の雪景色と、ロサンゼルスの豪奢な雰囲気を的確に捉えていました。どちらも異国風であり地元っぽく撮影するのはなかなか難しかったのではないでしょうか。