男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ダーティハリー2』WOWOW吹き替え完全版を観ました。

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WOWOWで企画放送されたダーティハリーシリーズの吹き替え完全版。その中の『ダーティハリー2』を観ました。

山田康雄氏が吹き替えしたバージョンは二種類あり、今回のはブルーレイにも収録されている後期バージョン。そちらのカット部分の吹き替えを担当したのは多田野曜平さん。これが見事に山田康雄節とも言うべきニュアンスを的確に再現しています。吹き替えの補完としてはこれ以上ないほどの完成度でしょう。

もっとも、この吹き替え版は山田康雄の中でもやたらとテンションが高く、突然オカマ口調のような言い回しになるのも特徴なので、やはり本家の部分になると俄然面白くなってしまうのが困りもの。

本編のダーティハリー2は子供の頃には何度となく観ていたんですが、高校生ぐらいになってくるとドン・シーゲルの一作目の素晴らしさに目が眩んで、「雑」な作品というイメージでラベリングしていました。

大人になってノートリミングのシネスコサイズで観直してみると、これが実に面白い作品である事が分かって、再評価しています。

テッド・ポストの演出はやはりテレビ的で少々安っぽいのですが、70年代らしい裸まみれの殺しまくり演出は今観るとかなりショッキングで面白い。そのくせギャングたちがアジトでが鳴り響く電話をまったく取ろうともせずに延々と食事し続けるロングカットなどもあったりして興味深い。結局電話を取るんわけですから、何十秒もほったらかしている意味がわからないんですよね。実に面白い。

ジョン・ミリアスマイケル・チミノが担当した脚本も、ノーカットで観るとその魅力が堪能できます。今回吹き替えの補填によってカットされたシーンが良く分かるんですが、どれもハリーの私生活を描いているシーンで、テレビでカットされたバージョンはアクション映画としては楽しめるのですが、この映画の真の魅力がスポイルされてしまっています。このハリーの私生活が描かれている部分がシリーズの他の作品とは決定的に違っているユニークな部分なのですね。
また、法で裁けぬ悪党たちを処刑しまくる白バイ軍団というアイデアはやはり秀逸。望月三起也先生の傑作『ワイルド7』の影響がどうあるのかは誰も調べていないので不明ですが、何にしろ白いヘルメットにグラサンというビジュアルだけでも強烈にクールなイメージ。シネスコのズラッと三人並ぶカットなどは無茶カッコイイ。『ターミネーター2』でもT-1000が気に入ったようで、クライマックスではずっとあのスタイルで戦っていましたもんね。

そして、前作に引き続きラロ・シフリンの音楽が猛烈にカッコイイ。

有名なオープニングの女性スキャットとか、まさにラロ・シフリンって感じ。