男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

王様のレストラン 1話〜3話

三谷幸喜の音声解説があるのですが、本編が面白くてなかなか全部聴けません。

止まらなくて困ります。


『古畑』で三谷熱が再発したので、『王様のレストラン』を観始める。奥さんもお気に入りなので、一緒に観られるのも大きい。

この作品の大好きなポイントは、三谷幸喜がこだわっていた「一幕物」と「時間軸の限定」を積極的に取り入れることができたところ。舞台は完全にレストラン内に限定されており、キャラクターの私生活が描かれることはない。それでもセリフなどからキャラクターの人物造形は充分視聴者に伝わって感情移入も問題なし。
本当に悪い人物がおらず、みんな「憎めない」キャラクター。ただし、善人ではなく血肉の通ったリアルな人間関係が描かれる。
『古畑』で発明された、言葉遣いは馬鹿丁寧で頭脳明晰なのに、どこかへんちくりんなキャラクターを松本幸四郎が完璧に演じている。
三谷幸喜の持ち味である、ロマンチックな要素がたっぷりと注入されているシナリオも高いポイントです。


1話目

全話を観ていると、1話目はどうしてもパンチにかけるというか、様子見のような印象を受けます。三谷も作品の評価とは別に視聴率が二作続けて低迷したことから、慎重になっていることがうかがえます。
もちろん充分面白いのですが、キャラクターの紹介やお馴染みのユーモアをちょっと抑えている上に、序盤と言うこともあってストーリーに起伏が無くて地味な印象なんですよ。ただし、それはそれで演出なども極めて上質で出来自体も悪く無い。でも、視聴率を稼ぐような強烈な面白さはもってこれていない。と言う事でやっぱりこの作品も「評価は高いのに数字に結びつかない」という結果になってしまいました。

もっとも、三作続けてブッチギリに面白い作品を連発したせいもあって、いよいよ『古畑2ndシーズン』で大ブレイクするんですけどね(でもその後また失速する……)。

どうでもいいけど、モスラのおもちゃに関する適当な設定は案の定これっきりでしたね。

2話目

千石さんが復活して、いよいよストーリーが動き始めます。今回は常連の代議士の奥様たちの食事会で、千石さんがシェフのしずかにシェフの心得を教えるためにトラブルを故意に発生させる。
恒例となる禄郎の爆笑訓辞もこの回から。初っぱなから「3つのW」で笑わせる。けっきょく「わっしょい」の一つしか言わない。「わっしょい」も仕事のどこに必要なのかはサッパリ。

用意したタキシードがマジシャン用でバカみたいに派手だったり、分かりやすいギャグが連発する。

前半は笑わせて、中盤でおっと思わせて、終盤はしっとりというパターンはこのエピソードから確立されている。

まだまだ各キャラクターがお互いになじんでいないのでギクシャクしているのが寂しい。だからこそ仲が良くなってくるのが楽しいんですけどね。


3話目

このエピソードで改めて各キャラクターの紹介が行われる。赤字解消のために人員削減を考慮して従業員の面接を行う話。

開店前の時間という設定なので、明るい店内が描かれ、爆発する各キャラクターの個性と相まって視覚的にも明るいイメージのエピソードです。このエピソードからいよいよ三谷幸喜のエンジンがかかりはじめているのが分かります。

仲間内ではでかいことを言って調子の良いそれぞれのキャラが、いざ面接のだんになるとオーナーたちのご機嫌取りに走ったり仲間の悪口を言ったりとやりたい放題。鈴木京香扮するホステスあがりのバーマン三条さんと、西村雅彦扮する支配人の範朝が不倫カップルであると言う設定も強調されます。

禄郎が三条さんに惚れることで、その後の大爆笑エピソードを生み出すことになるんですが、まだまだ序盤。

赤字解消の手段として支出を各経費から削って減らすプロットは、傑作『デーブ』からの拝借ですが、音楽のせいもあって大いに盛り上がります。

禄郎の訓辞は傑作「5つのP」。

と言うわけで傑作揃いの中盤に突入するので、また明日観ます。


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アイヴァン・ライトマン監督の傑作。笑わせながらホロリとさせる古き良きアメリカのコメディを現代に蘇らせたような夢のあるロマンチックコメディ。大統領のそっくりさんが急きょ本人になりかわることになって……という大変分かりやすい見事なプロットで、実にあったかいエピソードがてんこ盛り。名作なので未見の方は是非。

いよいよ11月4日に再発売される傑作コメディ。ハロルド・ラミス監督がビル・マーレイを主演にしてつくった現代の名作。こちらも古き良きコメディを彷彿とさせる。笑わせながらホロリというテイストながら、人間のもっとも崇高な部分をサラリと描いた奥深さも。ビル・マーレイというキャスティングもミスディレクションを生み出して完璧。必見です。