涼宮ハルヒの憂鬱
DVDを全部観終わりました。6話目までが『涼宮ハルヒの憂鬱』として完結しているので、後半は続編の本から幾つか選択してアニメ化しているそうです。
6話までを第一部として考えると、他の作品は短編ならではの力がほどよく抜けた傑作群でした。前回「やりたい放題できる」と書いたのですが、逆に現実へのアプローチの強いテイストを持っていて、それはそれでかなり楽しめてしまいました。もともと”番外編”が三度の飯よりも好きな人間なので。
前編後編の『孤島症候群』はミステリーでのお約束を軽いタッチで再現してしまうメタ的なストーリーですが、楽しむべきは孤島での涼宮ハルヒたちの楽しいバカンス(台風の中の探索も含めて)だったりするあたりも、二重三重の入れ子構造になっている点が非常に興味深いです。SOS団の構造はそう考えると上手いモノを考えたもんだと思いますねえ。
後半の文化祭がらみの作品群も、”文化祭”好きとしてはまたまた琴線に触れるモノが多かったのが収穫。例の『朝比奈ミクルの冒険』もアドバイスに従って『ライブアライブ』の前に観たのが正解でした。改めて観るともう大爆笑でしたよ。商店街をみくるがバニーガールで走るカットを、パンだけで4回も繰り返すのは無茶苦茶。フォーカスの遅れ方とかもやけにリアルに再現してあったり、追い払った長門扮する魔法使いで宇宙人に追いつきそうになる次のカットのみくるなんて死ぬかと思った。NG集でもあんな酷いのは作れない。
またちょうど今読んでいる原作二作目『涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)』の内容が、まんまこの作品のメイキングになっているのも楽しめる要因となっています。あのいきなりとっくみあいを始める長門にそんな理由があったなんて!
『ライブ・ア・ライブ』はまんま『リンダ・リンダ・リンダ』の完コピになっていて凄かったです。何気なく韓国の教室で居眠りしているキャラとかいるし。
最後の『サムデイ・イン・ザ・レイン』に至っては、嵐の通り過ぎた寂しさをしっとりと描いていてこれまた素晴らしい余韻を生み出していますね。珍しくキョンの居ない場面(キョンの一人称なのでこれは珍しい)が描かれているのも興味深いです。部室で延々と本を読んでいる長門の描写(バックのSEのような音声処理は実験的だ)や、みくるのPVを作っている体育館のシーンなどなど。
小説でもハルヒがキョンの事を意識している描写を非常に間接的に(これがすごく上手い)やるのですが、このエピソードのラストも微笑ましいですねえ。
こうなってくると現在放送中の『改めて』にどういう風に新作が絡んでくるのか楽しみで仕方がないです。
wikipediaによると
- 1. ライブアライブ
- 2. 朝比奈ミクルの冒険 Episode 00
- 3. ヒトメボレLOVER
- 4. 猫はどこに行った?
- 5. 朝比奈みくるの憂鬱
- 1. 編集長★一直線!(初出 ザ・スニーカー 2005年6・8・10・12月号)
- 2. ワンダリング・シャドウ(初出 ザ・スニーカー 2006年2・4月号)
白地になったモノが今回アニメ化されている短編になるようなので、その他の作品から選ばれるんでしょう。
この中から幾つかアニメ化されるんでしょうね。噂によると『消失』がされる可能性が高そうですが、また短編も織り交ぜてくれると嬉しいんだけどな。『朝比奈みくるの憂鬱』なんてタイトルだけで観てみたい。
それと『分裂』は上下構成になっているそうで、下巻に当たる『驚愕』が延期になってままなんですね。みなさんが読まないように言っている理由がやっと分かりました。ボクがそこに到達するまでには発売して欲しいもんです。