男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

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ばかのハコ船 NO One’s Ark [DVD]』『その男狂棒に突き■ [DVD]』の山下敦弘監督の実質的なメジャーデビュー作です。
系統としては同じくインディーズからメジャーへ進出した『ひみつの花園 [DVD]』の矢口史靖監督にとっての『スウィングガールズ スペシャル・エディション [DVD]』みたいな位置づけですね。ただ、同じ喜劇作家としては方向性が似ているようでいてアプローチが異なる両者。ボクは個人的に『スウィング・ガールズ』が消化不良だったせいもあって、こちらに断然軍配があがります。勿論比較なんか無意味なので単純にこの映画が大好きなのですが。

グエムル』のアーチェリー姉ちゃんを演じたペ・ドゥナ演じる韓国人留学生で物凄い行き当たりばったりに主人公達のバンドのボーカルに抜擢される「ソンさん」の役どころが、彼女の素晴らしい脱力感といざと言う時に魅せる輝きでグっと魅力的でした。(「元カレ?」とか大笑い)
ローレライ』では完全にミスキャストとしか思えなかった香椎由宇もキャラが完全にイメージにあっていてバッチリでした。

物語が文化祭前日から始まって文化祭最終日で終わると言う、完全に好みのプロットなのも非常にポイントが高い上に、山下監督の十八番とも言える中途半端な田舎が舞台(群馬県らしいです)。ボロイだけで別段風情の無い公立感丸出しの校舎がまた最高によくて、寒々しささえ感じさせる文化祭の出店ブリも特筆物。しかも冒頭や中盤でそれをさらに加速させるべく投入される映研らしき二人組みの文化祭リポート風映像が極悪に酷く、山下監督の持ち味であるリアリティの暴走による笑いをここでも爆発させていました。*1上記の『ばかの…』でもそのリアリティの暴走を担っていた男優陣二人がキチンとゲスト出演して、そのリアリティの暴走ぶりをメジャーだろうがお構いなしに(それでもそれはソフトに)炸裂させていてファンとしては素直に面白かったです。
ただの脇役だと高を括っていた指を折ってメンバーを抜けていた女の子や、屋上で一人漫画喫茶を出店している留年生らしきハスキーボイスの女性などが、終盤で異様な盛り上がりを担うのも侮れませんでした。(なぜあそこまで不必要なボーカルスキル!)

ソンさんに備品室で振られてしまうマッキー君のエピソードなど個人的に大笑いのネタがちょこまかと挿入されて*2 、山下監督のテイストを失わずに、キチンと真っ当な青春学際映画として成立させているのは素晴らしいんじゃないでしょうか。

頼むので大好きな『天然コケッコー』(ISBN:4086181045)の映画化もこの調子で成功させて欲しいと切に願います。

*1:主体性の無い監督の威勢だけはいい「カッツ!!!」がとにかく爆笑。

*2:韓国語で振られたのを勘違いして「OK?(ニヤ)」とか爆笑