男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『アビス完全版』前編

早くブルーレイ出ないかな……

タイタニック』は出し惜しみ&3D化のために発売されないのは分かるんですが、『アビス』はなかなかブルーレイ化のタイミングが難しいのか気配もない。

そもそも、DVDからして不遇な作品で、もともと劇場公開版と完全版を選択して再生できる仕様だったのが、不具合があったせいで完全版のみの収録に。しかも、どういうわけだかスクイーズ収録を見送られてレターボックス仕様。

発売当時ならまだ許された仕様ですが、ほとんどのモニターがワイド仕様になった現在ではシネスコサイズのレターボックスは「不良品」だと言われてもおかしくない仕様です。

キャメロンは『アビス』にはどういうスタンスなのかまるでハッキリしないのですが、放ったらかしのような状況が現在も続いています。

まあ、『エイリアン2』まで順調にきて、やっと制作費と製作日数をたんまりせしめていよいよ大作監督の仲間入りという作品だったはずが、まさかのスマッシュヒットどまりでアメリカ国内では制作費を回収できない事態に。早々にキャメロンを見限ったフォックスが、『ターミネーター2』を大ヒットさせたキャメロンに「なんでうちの会社で撮ってくれなかったんだ」と泣き言を並べると、「お前らが見限ったんだろうが」と啖呵を切ったそうです。

という具合に、キャメロンにとっては作品のでき云々よりも、危なくコケるところだった作品として苦い思い出があるのかもしれませんね。

と言っても、個人的にはキャメロンの中でもかなり好きな作品です。

そんな『アビス』の完全版がテレビ東京午後のロードショーにてハイビジョン放送。なんと今時珍しい二日連続での放送。なんせ171分もある超大作ですから、上映時間的には二日に分けてちょうどノーカットぐらいの分量です。『タイタニック』は映画自体が二部構成のようなものなので上映時間の長さも問題ないですが、殆ど深海の狭っ苦しい作業所が舞台のこの映画が171分というのはある意味異常。

映画のテンポとかペース配分もそういう上映時間を想定していないので、観ていてあまり長さは感じないんですよね。

前編での見せ場はやはり嵐によるクレーン落下シークエンスで、劇場で観た時もハラハラドキドキだったのを思い出しました。

落下してくる状況をサスペンスたっぷりに描いたあと、助かったと思いきやクレーンが崖にゆっくりと落ちていき、そのケーブルに今度は引っ張られて大パニックになる、静と動と使い分けが素晴らしい。

この映画、地元の広島で観た最後の映画でもありまして、その時観たのは35ミリバージョンだったのですが、上京して70ミリバージョンを観直したところ、キャメロンの言うとおり音が凄い事になっていたのを今でも覚えています。あの圧迫感と閉塞感は強烈でした。


キャメロンはキューブリックに影響されているのか、アナモレンズが嫌いなので、基本はスーパー35ミリフォーマットによるビスタサイズで製作するのですが、『ターミネーター2』からは大作を意識したのか上下をマスクしてシネスコサイズでの公開に移行しました。そして、『アビス』もこの完全版がLDで発売された時にシネスコサイズになっていたので驚いたのを覚えています。記憶がハッキリしないのですが、上京した時に観た70ミリバージョンはシネスコサイズだったような気がするんですが、ここんところをハッキリと明記した資料がないのでわかりません。

WOWOWなどでは劇場公開版がビスタサイズでハイビジョン放送されたこともあり、あちらも残せていれば貴重だったと思います。

何にしろ早いところブルーレイ化して欲しいところです。

・・・

今回の放送はハイビジョン放送で16:9のアスペクト。最初は上下マスクしたシネスコサイズのマスターを左右トリミングした二重トリミングなのかと思ったのですが(実際左右と上下が窮屈なカットがあった)、観ていると純粋に上下のマスクが外されたマスターのように思えます。今手元にアビスのソフトが一本も観られる状態で残っていないので見比べられないのが悔しい。誰かキャプチャーして比較してくれないもんだろうか……

画質は中の下という感じですが、勿論DVDとは比べ物になりません。

・・・


アビス〈上〉 (角川文庫)
オースン・スコット カード
角川書店
売り上げランキング: 493929

SF作家のオーソン・スコット・カードにノベライズを依頼したのも話題でした。もちろん『2001年宇宙の旅』でのクラークとキューブリックを意識しているのは明白で、シナリオだけではなく撮影したフィルムもちゃんと観てもらって執筆されたそうです。

僕はこのノベライズがすごく好きなんで、完全版を初めて観たときは、「ノベライズの完全な映画化だ」と奇妙な喜びを感じたもののです。上巻の前半に大きくページを割いてバド、リンジー、コフィの主要登場人物三人の生い立ちが語られるのも実に良いんですよ。ここらあたりオーソン・スコット・カードの創作だったようです。

さあ、明日は後編だ!

・・・

アビス・完全版(字幕版・TVサイズ) [VHS]
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント (1994-06-03)

90年代になると輸入盤のLDばかり買っていたので、アビスの国内盤ってDVDが初めてだった気がする。
そう考えると、この完全版のTVサイズのビデオって俄然興味深いなあ。上下のマスクも外れているだろうから、ビスタサイズの左右トリミングになるのだろうか……

安いから観てみようかな。