男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ヒックとドラゴン』


飛翔系映画の傑作

無印良品で奥さんの買物を待っている間に、流れていたオードリーの担当している予告を観たのがファーストコンタクト。その時は、「ああ、ドリームワークスのアニメか……」というだけの印象だったのですが、『リロ&スティッチ』の監督コンビが作ったと知ってちょっと興味がわきました。でも、公開してからの評判の良さにたじろいで、「そんなに面白いのか?」と慌てるような感じで奥さんと二人ワーナーマイカルへ行ってきました。

吹き替えしかなかったですけど、ちゃんと2D(フィルム)での上映もありました!

ただ、この映画はピクサーの映画と違って割と3Dを意識した画作りが多かったので、改めて3Dで観直したいです。


そう、観直したいと思うからには、噂通り大変堪能しました。


最初から最後まで物語の構造はシンプル。そして、王道。

主人公の少年ヒックはひょろひょろで、腕力はまったくないが指先は器用な理系キャラ。このヒックのナレーションで始まるのですが、彼がちょっと諦観漂うニヒルなキャラなのがツボ。

そして、このヒックに象徴されるように、物語も王道の中に原題の「戦争(紛争)」に対する暗喩も織り交ぜられた一筋縄ではいかない代物。


でも、王道。

これが、凄い。


ヒックがドラゴンと出会うあたりからの描写は、ジョン・パウエルの素晴らしい音楽と相まって、異様に感動的に仕上がっており、それは彼らが空を飛ぶシークエンスに至って頂点に達します。

この飛翔シークエンスは、まさに絶品。

ボクが個人的に「飛翔系」シークエンスが大好きだっていうのを差し引いても、このシークエンスの演出や描写の感動さはただ事じゃないです。

サウンド・イフェクトも効果抜群の「風」と「風圧」の描写がとにかく素晴らしい。

このあたりが飛行機とは違う「飛翔」のすばらしさであり醍醐味。

実際風圧でヒックが吹っ飛ばされてしまってから、自由落下で島まで落ちていくシーンなんか鳥肌立ちまくり。しかも、水面ぎりぎりで切り抜けるあの燃え!!


ドラゴン殺しの訓練風景と平行しながらドラゴンライドの描写を交錯させるあたりも、セリフに頼らない語り口がスマート。


ここまででも十分面白すぎるのに、とどめがクライマックス。


<ここからはネタバレありです>



なんと、ドラゴンの親玉が登場。しかも無茶苦茶でかい。こいつが大暴れでバイキングたちを蹂躙するあたりが激燃え。ヒックたちがやってきたらでかい羽を広げて空中戦までやらかす。あれは燃える。


ラスト、ヒックの足が●●●になってしまうのも、普通ならドラゴンの方の尻尾が治って帳尻があうところを、まさかヒックの方が●●●になって同じ立場になるっていうのも凄い。でも、これって子どもの頃ならやたらと納得できると思うので、こういう毒っぽさは大切です。ああいうのが無くなると、『ブラック・ジャック』の「病人というな!」的な、臭いものには蓋方式のいやなものを感じてしまう。だから、あのラストは大好きです。ヒックが悲観しないあたりもリアリティがあっていい。



傑作です。

名曲です。