桜の園
劇中時間が濃密
リメイク版がもうすぐ公開される、中原俊監督の『桜の園』。大好きな映画でビデオで何十回も観ている映画です。今回地上波で放送されたので久しぶりに観なおしました。
残念ながらSD放送でしたが、額縁にしてちゃんとビスタサイズで放送したのは嬉しかったです。CMは入るは最後は無神経にばっさり切って終わるはで、なかなか地上波放送って感じでした。
この映画って観直せば観なおすほど、
「え? もう終わり?」
と思ってしまうのです。
『桜の園』が上演されるまでの約2時間をほぼリアルタイムで描くというプロットがすでにたまらないんですが、三谷幸喜とは違って同一のシーンでカットが変わって時間経過をしたりして、実際には劇中時間が凄く長く感じるのです。
でも、最後のシーンになると
「もう終わり?」
と思ってしまうんですね。
多分、前後の状況や状態を一切画面に映さず説明もしないスタンスが良い方向に働いて、時間外のドラマがかなり勝手に脳内で補完されるんですね。だから時間の濃密さに対して実際の時間が追いつかないという感じ。
女子高出身の妻も太鼓判を押すほど「リアリティ」のある女子高ブリも世界観を強力に補完しているので、ホントに彼女たちと一緒にその時間を体感しているような感覚に陥るんですね。
かなり沢山のグループをいったりきたりする作劇でコレはなかなか凄いことなんじゃないでしょうか。
他に類を見ない傑作。