男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

イリーナ・スパルコさまぁ!!

【ものがたり】
ソ連の誇る超能力研究所の所員であるイリーナ・スパルコは、クリスタル・スカルによって授けられる英知を求めイギリスにてオクスリー教授と接触。しかし、彼はクリスタル・スカルの影響によって精神を犯されていた。
イリーナはオクスリー教授と行動を共にする女性を保護し、教授と彼女の共通の知人である考古学教授に協力を求め一路穢れた資本主義国アメリカへ部下たちと潜入。教授の示唆によりクリスタル・スカルのなきがらであるミイラの確保に成功。いよいよ南米はアマゾン川上流へ進路をとる。
道中教授一行と合流し、数々の冒険を経て遂にクリスタル・スカルの王国へたどり着く。
果たしてイリーナはクリスタル・スカルによって強大な英知を授けられるも、自身は宇宙と宇宙のはざ間へと旅立ってしまう。

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主人公イリーナ・スパルコを演じるケイト・ブランシェットがとにかく最高でした。

クライマックスでCG相手に見せる驚愕の芝居は完成映像を凌駕する素晴らしさで、同フレームに収まるも(おそらく指示などは聞かず)ボーッとしているだけのハリソン・フォードとの落差が泣けるほどである。

どんなときでもビシっと背筋を伸ばして、律儀にロシア訛りの英語を喋り続けるあたりも最高で、その悪女ブリに痺れまくりです。黒髪のおかっぱ頭という完成されたビジュアルも素晴らしく、その真っ紅に染まったワカメちゃんブリにЯ люблю тебя(ヤー リュブリュ チェビャ)。全編灰色のつなぎに黒のブーツと手袋で決めたファッションもたまりません。

中でも白眉はジャングルでのチェイス・シークエンス。ジープからジープへと飛び回る八面六臂の活躍や、ボンネットに投げ出されても苦も無く機関銃を撃ちまくるクールな様はトロけること請け合い。

↑相手が女性だろうがなんだろうが、まったく躊躇うことなく人間をミンチにできる機関銃の引き金を引きまくる!! そこにシビれるあこがれるぅ!!


「わたしの得意な能力は相手の考えを読み取ること」と嘯くや、『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシよろしくハリソンの眼前で手招きをする芝居も爆笑。結局何の成果も得られないと「お前の頭は読み取りにくい」と言い放つあたりもキュート過ぎる。

ジープの上で見せるフェンシングもカッコよくて、カラニシコフの弾がなくなるや待ってましたとサーベルを抜き放つあたりは身震いするほどでした。


加えて、仕事に一本気なあまり危機に陥った際には体裁を考えずに合理的な行動をとるあたりも非常に琴線に触れました。特にスピルバーグのお約束であるムシムシ大行進(軍隊アリ襲来)から逃れるために木のツルによじ登る姿が全然クールからかけ離れているのがいいです。なのに、イチイチ虫をつぶす際は気合満点にブチュっと体液を飛び散らすのも二重丸。手でも膝でも。

崖からの懸垂降下の際にも、部下たちとダサセクシーなポーズで余裕の芝居。

↑この後またまたスピルバーグの悪趣味演出の犠牲となって、部下たちが奈落の底へブチブチと払い落とされます。川が下にあるのにわざわざ岩肌に落とすあたりは『魔宮の伝説』からの伝統芸


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全編ほどよく緩い演出は、正にシリーズの正統的続編として満点の出来です。ヤヌス・カミンスキーまでダグラス・スローカムの撮影した前三作を意識したビジュアル・イメージを貫いているあたりはお見事です。とはいっても、原爆のきのこ雲をインディなめのアオリで捉えたショットなどは冴え渡っています。
ジョン・ウィリアムズの音楽は要所要所で過去のモチーフを持ってきた遊び心は面白いのですが、全体的には新しいモチーフなどが耳に残らないのが残念でした。イリーナ様には前作で聴かせたナチスのテーマに匹敵するようなモノを作って欲しかったものです。ただ、クリスタル・スカルの王国への入り口を発見するシークエンスで、いきなり『宇宙戦争』のメロディが登場したのが笑激でした。後の展開を知ると余計に皮肉の効き過ぎた使い方に呆気。まさかアレが登場するのかとバカみたいな期待をしていましたが、それ以上のサプライズがあって驚きました。



終盤のアレには当然賛否があるでしょうが、個人的にはあっち方面もよだれが出るほど好きなフレーバーなので、大いにありでした。しかも登場→崩壊→沈没と大仕掛けのビジュアルを一気にみせるショットは最近に無いちょっと驚きの映像でした。

子供の頃から007などでは定番の「女性使い捨て」に関して結構心が傷ついていたのですが、まさかちゃんとソレに決着をつけるとは思っていなかったので、ラストは意外にちょっとウルっと来てしまいました。

まあ、欲を言えばどうせ粉々になるならイリーナ様には『レイダース』以上のドロドロを用意すべきだったと思いますし、個人的にはあの湖からまさかの生還を果たすや、クリスタル・スカルの英知によってすっかり良心に目覚めた「いい女」へ変貌しているなんていう驚天動地のオチが良かったのですが……