男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ジェス・ウィードンの偉業『アベンジャーズ』★★★★


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燃えるヒーロー映画の到達点

前提として。

言うまでもなく「映画」は集団で創作される娯楽であり芸術です。特にハリウッドでは優秀な脚本家や演出家がたくさんおり、クレジットされない人たちが大量に参加していることもしばしばです。また、ピクサーのように公然と「チーム」と称していいほど複数の人間が関わって脚本段階の推敲が行われて完成される作品もあります。なので、特定の人間の業績として褒め称えるのは気がひけるのですが、やはり単特でクレジットされていることもありますから、ここではこの作品の成功は監督と脚本を担当したジェス・ウィードンであるとしておきます。


前代未聞のプロジェクト

2008年の『インクレディブル・ハルク』から開始された、今回の『アベンジャーズ』計画。つまり、アメコミ会社マーベル社製のコミックヒーローが一堂に会する『アベンジャーズ』という作品を軸にして、それぞれのキャラクターでもそれぞれ単独の作品を製作しての大興行。

まあ、誰でも思いつきはしますが、最初からそういった計画の元に6本もの映画を作るというプロジェクトは前代未聞と言っていいでしょう。『スーパーマン』を制作費がもったいないから二作目も同時に撮ってしまったサルキンドのような適当な代物とはわけが違う。

プロジェクトを簡単にまとめると

2008年『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク
2010年『アイアンマン2
2011年『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ
そして
2012年『アベンジャーズ

となります。

当初から付き合ってきた感覚としては『アイアンマン』が予想以上のクオリティとなって興行的にも質的にも素晴らしいスタートを切った途端に、『インクレディブル・ハルク』で大きく躓き、ちょっと気合を入れなおした2年後の『アイアンマン2』もプロジェクトを意識しすぎて作品としては少々質が落ちる。続く『マイティ・ソー』と『キャプテン・アメリカ』も作品の質は水準を保っていたんですが、特別これで『アベンジャーズ』だうおおおお! とはならなかった。

これが一気に変わったのはやはり『アベンジャーズ』がアメリカで公開されてからの大絶賛の嵐でした。

この時まで「どうせコケるに決まっている」と思い込んでいたので、これは一体どういうことなんだと釈然としない日々を送ってきました。

というのも、この手の「企画」ありきの作品、特に複数のフランチャイズがクロスオーバーする作品は、興行的にはある程度の成功が約束されているために、作品そのものの「質」に関して二の次になるからです。いや、もちろんクリエイターたちは最大限いいものにしようと努力はするでしょうが、ある程度の成功を必ず収めるために「手堅い」作りにすることをスポンサーからは求められるはずなのです。しかも、世界観こそ後付けで共通していると銘打っていても、それぞれが単体で活躍するヒーローモノなのですから、パワーバランスがまったく一致していないわけです。

しかも、恐ろしいことに世界観の共有こそ細々した部分で根回しした単独の作品群にも、特にそのパワーバランスに気を払っているような気配がない。

いよいよ、これは『アベンジャーズ』では「お祭り映画だからそこはそこは大目にみてね」方式なんだろうとたかをくくっていました。事実今日この目で観るまではそう思って観てました。

話を少し戻すと、この作品に求められているのは「王道」そのものです。要するに「強大な敵が襲ってきて大ピンチになったところで、ヒーローたちが協力してそれをやっつける」という誰もが想像するストーリーを避けられないという事。これは大変難しい足かせです。オリジナルのシリーズの続編とかであれば、キャメロンが得意な「別のジャンル」にしてしまう方法もありますが、複数の作品の続編を一気に一本でやってしまおうというわけですから、そんなわけにはいかない。そこがこのプロジェクトの凶悪なところ。それぞれの作品のスピンオフとして制作されるのではなく、それぞれの作品の「続編」でなければならないので、なんと時間軸も共有している!

つまり、この作品は『アイアンマン3』であり「マイティ・ソー2』であり『インクレディブル・ハルク2』であり『キャプテン・アメリカ/ザ・セカンド・アベンジャー』でなければいけないのです。


この『アベンジャーズ』は

・単独の作品
・複数の作品のクロスオーバー
・複数の作品の続編

この到底共存できるとは思えない3つの要素を高次元で実現させた前代未聞の傑作なのです。


しかも、『アイアンマン』こそ単独として傑出したクオリティを誇っていましたが、それぞれの作品が「そこそこ」なクオリティなのは、この作品で全開にハイクオリティな世界を見せつけるための計算だったとも思えるのです。そこらあたりは完全にこのプロジェクトの勝利といえるでしょう。実際興行収入がとんでもないことになっているわけですから。


この作品は徹底的に緻密な計画の元に成立している作品ですが、だったらこれが誰でも作れるのかと言われれば、答えは間違いなく「NO」

そこが前代未聞と言える部分です。

それは監督として雇われたジェス・ウィードンがもともとあった脚本をリライトしている点が重要なポイント。もともとの脚本を書いたのはザック・ペンという人で、『インクレディブル・ハルク』や『X-MEN ファイナル・デシジョン』を書いていることからも分かるように、ハッキリ言って才能はない。

それを踏まえてこの作品を振り返ってみると、「王道」の部分をキチンと守りつつ、実に個性的なディティールの部分が作品を支えていることがよく分かります。


<以下完全ネタバレ>



お祭り映画なのに脇役一人に至るまで魅力的なキャラ

この映画には記号的なヒーローとして「アイアンマン」「ソー」「ハルク」「キャプテン・アメリカ」という四人が登場します。加えてそれぞれの作品でも顔見せはしていたが、この作品から重要なキャラとなるヒーローとして「ブラック・ウィドー」「ホークアイ」「フューリュー長官」が加わって、合計7人のヒーローが登場する。この人数で明らかなように、この作品は黒澤明橋本忍が発明した『七人の○○』モノに属するプロットの派生系として構成されている。映画の世界では極めて王道とも言えるプロットとして流通しているので、そこは安直だと思われる可能性もある。しかし、この作品が本当に素晴らしいのは、『七人の侍』が実は百姓のキャラクターそれぞれにも魅力があったように、この作品ではシールドという組織のメンバーである各エージェントにも非常に重要な役割を与えているのだ。

最も重要なのは『アイアンマン』『アイアンマン2』『マイティ・ソー』にもチョコチョコと登場していたエージェントであるフィル・コールソン。どんな状況でも優しい笑みを絶やさず、冷静にそれでいて決然とした言動を披露していたが、アベンジャーズではキャプテン・アメリカの大ファンという設定が付与された。つまり大戦中に生まれた最古のヒーローであるキャプテン・アメリカは、現実世界とリンクしてメタ的にアベンジャーズの作品世界でも「ヒーロー」として長年愛されてきたという設定なのだ。キャプテン・アメリカのカードを大事に持っているという事を別の人物から知らされた当のキャプテン・アメリカが、実際に「よければサインをもらえないか」と奥ゆかしく頼まれるシーンは素晴らしく(しかも「新品同様なんです」と自慢する!)、しかも、それがこの作品そのものどころか、ひいてはヒーローそのものについてのテーマをも極めて端的に表現し尽くしているのだ!
彼が主要登場人物で唯一死んでしまうのだが、彼が死に際にフューリーへ「彼らには後押しが必要です」と自分の死がヒーローたちの行動原理になるよう願う。そして、フューリーはロッカーに仕舞ってあった大事な彼のキャプテン・アメリカ・カード(新品同様だったのが血まみれに!!)を「彼の上着からみつかった」と嘘をついて見せる。もうこの辺の「魂のこもった」上で緻密なシナリオは素晴らしいの一言。どうやらこのエピソードはジェス・ウィードンが考案したそうで、それだけでも彼のこの作品に対する功績は並大抵でないことが分かる。
コールソンとキャプテン・アメリカが交わす会話も非常に重要な部分で、「コスチュームはわたしがデザインしました」と喜んで奥ゆかしく自慢するコールソンに対して「星条旗を模したああいうコスチュームは古臭いんじゃないかな……」とキャプテン・アメリカは返す。そこでコールソンは「現在ではああいう古臭いスタイルも重要なんです」とキャプテン・アメリカにコスチュームを着ることを望む。このくだりは、ヒーローモノの抱えるジレンマである「なんでそんなコスチューム着てる必要があるんだ?」というものに対するエクスキューズと、この映画が持っているヒーローに対するテーマを端的に表現する伏線になっている。つまり「ヒーロー」という記号が持つ重要性と、それがどういった効果を生み出すかという事だ。クライマックスの市街戦で、圧倒的な侵略(何と宇宙からの侵略だ!)を受けた絶望的なニューヨークの市民たちを何としても守ろうとするキャプテン・アメリカが、その指示を警官たちに下すシーン。警官たちが「なんで俺達に命令するんだ?」と、普通なら省略されがちなセリフをいうと、そこに襲いかかってきた侵略者をキャプテン・アメリカがやっつける。すると警官たちは一転して市民の避難誘導を開始する。ここは本編ではひとつのギャグとして処理されている部分だが、ヒーローという存在の持つ重要なテーマが見事に表現されている。悪の道に入ってしまったロキは嬉々として「人間は自由を求めるから不自由になる」「人類は元来従属を求める種族なのだ」と典型的なファシズムを口にするが、それに対する答えがまさにこれだ。「従属だろうがなんだろうが、するかしないかは人々が自分できめることであり、強制されるものではない」



さらにこの映画の素晴らしいところは、主要な単独ヒーローである四人と同等に(いや、それ以上に)「ブラック・ウィドー」と「ホークアイ」にもストーリー上の重要な役割をあてがっていることだ。

この映画では「ブラック・ウィドー」と「ホークアイ」がヒーロー側と悪の側に分かれて行動し、クライマックスで合流するという意外とトリッキーなプロットが用意されている。味方一人が冒頭で敵に篭絡されてしまうというのもシナリオの掴みとして巧いだけでなく、所詮は生身の人間である二人のキャラを違和感なくストーリー上で動かしている。

この二人のキャラクターが、実は前述したヒーローたちのパワーバランスを整える役割を果たしている。機械の身体を持っているとはいえ中身は「スーツがなければ、ただの富豪でボンボンでモテモテで頭脳明晰なハンサム」なだけのトニーを、ちょうどブリッジとして主要なポジションに据えているが、明らかにスペックオーバーな雷神ソーや無敵のハルクの存在に、あの二人のキャラは説得力をもたせている。簡単に敵に洗脳されてしまったり、足が落ちたパイプに挟まるという露骨によくあるシチュエーションでピンチに陥ったりする二人の存在は、生身の人間でもヒーローになれると同時に、映画の中に切れば血が流れる「弱い存在」としてキチンと機能しているのだ。絵空事の世界ではこういった「重力の存在」とも言える物理的生理的リアリティーが必ず必要だ。各エージェントをはじめとして、果ては警官や消防官たちの存在もキチンと描いているからこそクライマックスの市街戦が異様に盛り上がっていることは言うまでもない。


ダイナミックな空想世界の活写

転じて、ヒーロー映画に誰もが(特に子どもが)望んでいるのは、夢に見るような現実離れした世界だ。ヒーローたちの大活躍を見事に描いてみせるこの作品は、正直なところどのヒーローの活躍場面も単独のそれぞれの作品より数段出来が上である。これはもう単純にジェス・ウィードンの力量が凄まじいとしか言いようがないのだが、個人的にはその世界観をガチンと明示してみせた、あの空飛ぶ空母のビジュアルとアイデアだ。空母が基地なんだと普通に納得しかけたところへ、イキナリブルブルブルと空に浮かび上がるあのアメイジングぶり! もう完全にあそこのシーンで心を持っていかれたことをここに告白しなければいけない。なお凄いことに、あの空母、空を飛ぶことにまるで意味が無い!!!

あの辺りから、ジェス・ウィードンが想像以上に日本のアニメを愛していることが分かって猛烈に嬉しかった。ヒーローたちの活躍する演出一つにしても、そのスピード感の演出が完全に日本のアニメそのもの。あの動きの前後や中間を省く描写と、CGならではのダイナミックな映像表現が渾然一体となったヒーローアクション描写は、まさに「こういうのが観たかった!」と声を大にして言いたい。

この『アベンジャーズ』の最大の功績は、こういう「燃え」のディティールがしっかりと描写されていることだ。

特にクライマックスのニューヨーク市街戦は今まで観たこともないようなソリッドかつダイナミックなアクション描写がこれでもかと投入される。マイケル・ベイがやりたくても全然出来なかったことを見事にみせつけてくれる。どのカットでも観客の視点誘導や状況描写が的確。市街地の水平方向とスターク・ビルを中心軸とした摩天楼の垂直方向がキレイにXY軸として配置された空間処理。これほど複数の要素が複雑に絡み合っているというのに、どれひとつとして観客に混乱を抱かせないレイアウトとコンテの緻密さはなかなかお目にかかれない完成度。編集を担当しているリサ・ラセックはジェス・ウィードンと今までも組んでいた人物で、彼の演出意図を見事にくんでいる。共同編集のジェフリー・フォードは『キャプテン・アメリカ』から引き続き担当しており、他のフィルモグラフィーはドラマが中心。見事な仕事だ。


ILMデジタル・ドメインなどなど現代最強の錚々たる特殊効果グループが担当しているCGI部門は圧巻の一言だが、市街戦での異様に迫力満点の爆破シーンなどのライブアクションも素晴らしい。宇宙からの侵略という圧倒的な絶望感を見事に表現している。


恐るべき宇宙からの侵略

完全に情報を遮断していたので、この映画で一番気になっていたのは、「あんなチートに近いヒーローたちが揃っていて、何と戦うんだろう?」ということ。

それが「宇宙からの侵略」だと分かった時には、「敵もチートだったか!」というものだった。

実際宇宙からの穴が開いて、ウジャウジャと恐ろしい巨大なバケモノが襲ってきた時の絶望感ときたらなかった。久々に「これは勝てねえ」と思わされた。

ここで、ついにハルクと雷神ソーの大活躍となるわけだが、その見せ方と持って行き方が実に巧み。特に戦線離脱させていたハルクがちっちゃなバイクで現れる巧さよ! 前作でハルクを演じたエドワード・ノートンに代わってブルース・バナーを演じるマーク・ラファロはもともと大好きな役者だが、この作品でもロバート・ダウニー・jrと並んで絶品の芝居をみせてくれる。内向的な科学者としてのブルース・バナーを繊細に演じ、ヒーロー然とした各登場人物とは違うハルクの特殊性を見事に表現している。なので、いよいよバナーがハルクに変身して大暴れする展開は、見事なアクション描写と相まって「燃え」の一言。異常に巨大な生物と比較して豆粒のような描写をされるハルクが、超強力な腕力でねじ伏せるカタルシスは相当なもので、あの逆転の発想にはぶったまげる。

この映画はTRPGに例えると、実に見事なマスターとプレイヤーがおりなす絶品のセッション。敵の出し方やマクガフィンの配置は実に見事だし、プレイヤーを追い詰めるシナリオも見事。そして、各キャラクターのロールプレイもことごとく巧くいっており、それぞれの特性やスキルをすべて有効に使い切った市街戦は拍手喝采と言える。


中でも無茶苦茶燃えたのは、完全に劣勢なのにも関わらず、スターク・ビルにボロボロで戻ってきたトニーがボスのロキと相対するシーン。

全編減らず口しか叩かないタフでユーモラスなトニーが、ここでもあえてスーツを脱いで生身をさらし、「これは脅しなんだが」とロキを挑発し続ける。「酒でも飲むか?」とグラスに注いだりする。あそこは圧巻のロールプレイで、トニーというキャラを完全に理解しているジェス・ウィードンの完全勝利。

カリオストロの城のジョドーよろしく平然と歩くトニーからスーツを脱がしていく機械のジャーヴィスも最高。

挙句に放り出されてからのマーク7への空中変身!!!

あそこは燃えすぎてどうにかなりそうだった。

トニーことアイアンマンは美味しいところもやっぱり持っていくポジションで、クライマックスの核ミサイル(アメリカほんと好きだな核がよ!)を宇宙空間に通じる穴に持って行って特攻。ベタだが恋人のペッパーとの電話連絡つかなかったりするシーンでグっとくる。

当然ギリギリで助かって、ハルクの咆哮でギョッと目を醒ますお約束。


キャプテン・アメリカのリーダーとしてチームを纏めるくだりはなかなか熱い。生真面目な学級長タイプならではの見事なロールプレイ。皮肉屋のトニーと上手くいかないあたりや、それでも見事に仲間になっていく展開は実に見事。

一番扱いが難しかったであろうソーも、義弟ロキに対する責任や地球に対する愛情などを絶妙に絡めた行動動機を与えているのが巧い。ちゃんと『マイティ・ソー』の時より成長しているのも良い。


ギャグがとにかく面白い

この手の大作アクション映画の成功を握るポイントはズバリ「緩急」

要するに手に汗握らせるために、ちょっと息を抜かせる部分。この手のヒーロー映画では「ギャグ」が一番有効で、そういった部分で最も便利なのは減らず口のトニー。しかも、それを演じるロバート・ダウニー・jrがあまりにも面白いので、それだけで充分なのだが、ジェス・ウィードンはとにかくここぞというところで入れてくるギャグが猛烈に面白い。しかも、ベタベタなスラップスティックなギャグから、上質な皮肉まで多種多彩なギャグを入れ込んでくる。クライマックスの市街戦などでは、ギャグがあまりに面白くて緊張感が途切れないか心配になるほど。

以下気に入ったギャグを列挙

・サンドバッグをボゴボゴに殴りまくってふっ飛ばしてしまうキャプテン・アメリカがうんざりと振り向くと、予備のサンドバッグが山ほど並べてある。
・ロキの事を散々責められたソーが「奴は俺の弟だぞ!」と庇う。「彼はもう20人も殺しているのよ」「…奴は養子だ」
・「スーツを着てない君は何者だ?」「ただの金持ちでモテモテの天才だ」
・フューリュー長官とバズーカ
・突然ソーを殴り飛ばすハルク
・演説途中のロキをボゴボゴに叩きのめすハルク



・・・


2D撮影の3D変換作品ですが、変換処理は大変見事で、市街戦のパートなど飛んでくる敵やビル群の奥行き、摩天楼の高さなどかなり効果的でした。もっとも基本的にはジェス・ウィードンは2Dでの視聴を前提としている演出のようです。

単独作品は『インクレディブル・ハルク』以外シネスコだったので、今作がビスタサイズだったのは意外。興行ベースでも重要なポジションになってきたIMAXアスペクトを意識しているのかも知れません。『キャプテン・アメリカ』のラストシーンが突然ビスタになるのはこの作品からのフッテージだったからですね。

配給がディズニーに変わったことで、音声仕様もドルビー7.1chになっていますが、今回観たワーナーマイカルはノーマル。それでも重低音はかなりの迫力でした。恐らくIMAXでの視聴がベストと思われますが、TOHO系やTジョイでドルビー7.1chでも聴いてみたいところ。

アラン・シルベストリは『キャプテン・アメリカ』から引き続き担当ですが、残念ながら口ずさみたくなるような明確なテーマを作り出せなかったのは残念。主題歌も最悪。

追記:サントラを聴いたら実に燃える音楽だったので、アラン・シルヴェストリはグッジョブだったと思います。今では完全に口ずさめるしw

ソーの恋人ナタリー・ポートマンが写真でしか登場しないのは残念でした。彼女がアインシュタイン・ブリッジの謎を解いてソーをやっとのことで召喚してくれると思っていたので。

ソーにいたっては「必ず会いに来る」とまで言っておいてさっさと帰ってしまうし。キャプテン・アメリカは過去の時代のヒロインとのデートの約束はすっぽかしたままだし。ココらへんは次のシリーズで回収して欲しいところ。


・・・

あと、どうしても書いておきたいのは、ラストの食事シーン。

トニーがみんなで食べに行こうとその場凌ぎの減らず口で言った「シュワルマ」という料理を食べに行っているらしいんですが、この1カット固定で黙々と食べているアベンジャーズのメンバーたちが最高に大笑いしました。

今までの超大作大アクションから一転して、日常丸出しの食堂で延々と無言で食事をするシーンは、wikipediaによるとジェス・ウィードンが追加撮影までして挿入しているそうで、よくぞこんなギャグを会社が許したなと。ワールドプレミアの反応に気をよくしたご褒美なのかもしれないですが、作品のテンションが一転するあのオチは、ガチガチの大ボケでもないあたりが凄まじくて、実は一番ジェス・ウィードンの底の深さを味わったシーンでした。

食事シーンが何よりも大好きなので、個人的に本編にそれが無かったのが残念だなあと思ったところへの不意打ちでした。

うがって考えると、ここでもヒーローたちの有り様を茶化しているとも考えられますが、やはりアレはギャグであってほしい。カメラに背中を向けているメンバーもいたりするんですが、それぞれの食べ方やタイミングなどはキチンとキャラクターに則っているのが最高で、適当な即興ではないあたりも奥深い。


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アベンジャーズを観るにあたっては一番重要な作品がこちら。田舎を舞台にしたハーレクイン・コメディとして楽しむのが正しい鑑賞法。



名実ともに失敗作であるが、実はアベンジャーズを観る上ではハルクは欠かせないというむず痒いポジション。



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アベンジャーズの良心とも言うべきキャプテン・アメリカ。ヒーローとしての象徴としての重要なポジションでもある。クリス・エヴァンスのもやし男ブリは超絶CGI処理もあわせて必見。今でもマッチョ体型のほうに違和感を覚えるほどハマってます。