男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

キテレツ大百科 1 (藤子・F・不二雄大全集)

むっちゃくちゃ面白い!

やっぱり、むっちゃくちゃ面白いよキテレツ!!

全話レビューは無理なので(汗)それぞれの話のお気に入りポイントを。

(やっと”続きを読む”というやり方を覚えました)



『ワガハイはコロ助ナリ』

記念すべき第一話

  • キテレツがいきなり本格的な製図をしている描写
  • 「くだらないとはなんですか。」
  • リリエンタールのグライダーより三十三年早かった。
  • 「こごとなら後でまとめき聞くから」(ボクも子どもの頃これを真似して使っていた)
  • 「で、ではスイッチを……。」(舌を出して身震いするキテレツ最高)


『脱時機でのんびり』

  • 「映画やハイキングか……。この世にはそういう楽しいこともあっただなあ……。かすかに覚えている。」

準レギュラー勉三さん登場。良い味出し過ぎ。


『しん気ろうでやっつけろ』

  • 「あんたじゃないナリ。」
  • 「厚さ三分径三寸五分の玻璃を、金剛砂にてみがくべし。」(これ以外にもオリジナル奇天烈大百科の記述はイチイチ素晴らしい)


『キッコー船の冒険』

  • 「ロボットが海水浴なんかするの?」
  • 「夜通しかき回してたの?」(これでこそロボット!)


  • 「電車賃よこせナリ」(「せ」がポイント)


『聞き耳ずきん』

  • 「ネズミか。」(家にいるネズミを放置すると言う描写に時代を感じさせる)
  • 「おれたちには関係ないけどさ。」(説明セリフに対する究極のエクスキューズ)
  • 「これでいいのだ。」
  • 「見てよこの汗!」(大爆笑。ずきんとかよりサンバイザーとれって!)

理解ある飼い主ってのもF世界では珍しい。


『片道タイムマシン』

タイムパラドックスを扱った傑作であると共に、F作品ではお馴染みの江戸時代の日本を生活感あふれるタッチで描写した作品。

  • 「ウーン……、心当たりがありませんな。」(魔美のお父さんと並んで、キテレツのパパもかなりの人格者)
  • 「ちゃあんと戸乱辞須太を使うべしと書いてある。」
  • 「ここのボタンどうしてなくなってんだろ。」(理由が分かってから激怒するキテレツが最高)
  • 「オエ〜〜〜、ボーフラがいっぱい。」
  • 「どこからも救いの手はこない。当たり前だけど。」

ううん、面白い。F先生の描く昔の日本はホントに生活感があっていい。


モグラ・マンション』

フラッシュバック形式を採用したエピソード。『ドラえもん』の「大むかし漂流記」とあわせて楽しみたいF先生がたまに使う構成。

  • 「ぼくが知ってるわけないでしょう。」
  • 「わが社はお客さま本位です。」(「本位」て)


『江戸時代の月面図』

子どもの頃から大好きだった一篇。ロマン溢れすぎ。

  • 「偶然だよ。おそろしいほどの偶然だ!」(パパ、クール過ぎるぜ)
  • 千里鏡のタッチが恐ろしいほどF!(当たり前だけど)
  • 「すぐ英ちゃんをしかりに行きましょう」(音が字で書かれるって素晴らし過ぎるアイデア!)
  • 「時代がちがう。」(説明が済んだと思ったら、いきなり月へ向かうキテレツ)
  • 「とうとう……、行っちまったナリ。」(はははは)
  • 「ばり」

いさぎよくあきらめるキテレツの科学者らしい言動が泣ける。


『公園の恐竜』

キテレツの部屋を開けたらイキナリ公衆便所!(ママの表情が最高)
二つの舞台を左右対称に縦でコマ割りするスマートな漫画演出。


『キテレツの団体』

ほぼ一ページ使ってケーキを独り占めしようとアレコレ独り言で自分を納得させるコロ助が最高。結局キテレツに食べられて食べ損なうのもまたコロ助。衝撃受けすぎて「わがはい」のはずが「ぼくのケーキは?」

  • 「しょうがない貸してやるか。お年玉もらうつごうもあるし……。」(ほんとF先生は金が絡むと面白い)

ブタゴリラを使った「タコ持った子」のかぶせギャグは鉄板。


『冥府刀』

文庫版には収録されていないエピソードで、F作品の中でも奇妙な雰囲気では随一の作品。とにかくやたらと気味が悪い。

みよちゃんの神隠しになるシーンも、薄気味悪さが特筆モノ。

あんなにビビっているのにキテレツが心配で一緒にくるコロ助がいい。みよちゃん捜索にコジつけるツンデレぶりも披露。

冥府=四次元世界の奇妙なデザインと、住民の奇妙さも他では得難い独特。

オチも冒頭と絶妙にリンクして、結局薄気味悪さと取り残され感が増大してたまらない。

傑作。


『一寸ガードマン』

またまたケーキを食べられなくてふて寝するコロ助。座布団を掛け布団にしているのが可愛い。

  • 「だからいったのに。」(棒立ちのキテレツに限りないFタッチを感じます)


『チョーチンおばけ捕物帖』

F先生得意の、「権力の持つバイオレンス」が炸裂。ホントF先生「正義の味方」きらいな。
結局作った”召し捕り人”も、ちょうちん型ロボットで暴走。『ドラえもん』の傑作「スケジュールどけい」を彷彿とさせる爆笑ぶり。

↑融通の利かなさは他の追従を許さない。「ニガサナイ!」ってなあ。F先生の編集者に対する気持ちがストレートに出過ぎた傑作。


地震の作り方』

執筆当時の70年代中盤は、ハリウッドでディザスター映画が大ブーム。キテレツにも『タワーリング・インフェルノ』をまんまいただいたエピソードもあり、こちらは『大地震』から拝借しているようです。と言っても、やってることは「くせなおしガス」と同じですけどね。ははは。


『サイボーグキンちゃん』

コロ助がペットをせがむので、金魚を生体改造してどんどんパワーアップさせていく、キテレツ風合体バラバラの世界という趣。

知恵をつけすぎて去っていく金魚に、コロ助はおいてけぼり。

  • 「しかし…。」が切ない。


『潜地球』

初期は率先してキテレツの手伝いをしていたコロ助が冒頭からサボタージュしている。

天井から落ちて床にと言うパターンはF先生の鉄板演出。ここではパパがびっくり。


『水ねん土で子どもビル』

コロ助の暑がり描写が狂気マンマンで爆笑。ハエがとまったぐらいで「ガジャモジャ」と無茶苦茶。

  • 「ロボットが暑がるというのがそもそもおかしいんだ。」

昼寝しているコロ助を間において口論を始めるキテレツ両親も面白い。

  • 「ジンルイなんて関係ありません!」(もっともだ)

その後背中向け合って無言の険悪さがリアル過ぎる。ははは。

水ねん土でビルを作ろうというあたりから、F先生の大好きな建築ネタに。見開き一杯の見取り図コマもお約束で大変ロマンがある。


『うらみキャンディー』

理不尽な暴力(いじめ)に対する思いを描かせたらF&A両先生にかなうモノはいないでしょう。それだけに共感度も半端ない。
ちゃんと仲裁に入るキテレツが素晴らしい(ボゴボゴにされるけど)。

  • 「やつらをメタメタにやっつける機械を!」
  • 「うらめしい。モグモグ……。こりゃうまいや。」

いきなり真っ暗な部屋で無数のわら人形に釘を打つ付けている乙梨くん。イジめられた事のある人間なら全然笑えない。

  • 「ああっ見たな!」
  • 「いや別におまえにうらみはないけどさ。あんまりたくつだから、いじめてスカッとしたいんだ。いいだろ。」(人間のクズを描かせても天下一品)


『失恋はラブミ膏』

  • 「無意味なときを過ごそうと思って。」「あたしとおしゃべりするのが無意味なの?」(キテレツ!!)

勉三再登場。そして、その恋の悩みを聞いたキテレツが笑いを必死に堪える描写がまた大爆笑!!

まさにのび太のコレに匹敵する。


↑「わらわないね。」


せっかくのラブレターの返事を誤字脱字を正して採点までしてしまう勉三さんが面白過ぎる。キテレツもキャラクターおかまいなしに、腹を抱えて大爆笑。次のコマでいきなり勉三さんがF先生得意の背中向けで憤慨。

  • 羅部身膏(族的センス)


『らくらくハイキング』

  • 「ぜひやりなさい。」(悪意のない善意ほどたちが悪い)
  • 「そこがおまえの考えの浅いところなんだ。テープを曲げて点をくっつければいい。」(これと『ヤマト』のワープ航法の波線は子供心に衝撃だった)

最初はドアや入口らしき部分を探してテープをはっていたが、途中からどうでもよくなってテープを入口みたいに囲えばOKになるのがいかにもFライク。

遭難した状況を楽しむキテレツ。いつものパターンならしっぺ返しをくらうのに、けっきょく無事に帰還してしまうあたりがやぱりのび太とは違うキャラだなと感じます。


第二巻へつづく


やっぱり『キテレツ大百科』の醍醐味はページ数が多いことでしょうか。F先生のディティール演出が冴えに冴えるんですよね。ストーリーの構成にもゆったりと余裕があって大変読み応えがある。『ドラえもん』のドラミちゃん編と同様で、F先生が元来ストーリーテラーであることを感じさせますね。