『サイン』BS-hi
爆笑とサスペンスの共存
シャマラン監督の三作目にして個人的には最高傑作。前作の『アンブレイカブル』も大傑作でしたが、モチーフが好みすぎて比較が難しいほどです。
メタ的なテーマとしては、『フィクションの中のご都合主義』を『神の啓示』に置き換えて描く事にあるわけですけど、この作品の眼目はシャマランの十八番である”サスペンス演出”と”コメディ演出”が高次元で共存していることではないでしょうか。
とにかく過剰に緊張させたと思ったら抜群のタイミングでぶっ飛ぶギャグが挿入される。この独特すぎるセンスは初期シャマランならではの荒業。いや神業といってもいいほどでしょう。
キャラクターたちに一切笑わせる気が無い「無表情」ブリもゾクゾクするほど笑えます。
突出しているのは銀紙帽子頭三連発のシークエンスと、ソファに並んで座ったメル・ギブソンとホワキン・フェニックスのショットでしょう。子役二人がUFO映像を録画するテープで口論している背後でまんじりともせず、ひざを抱えて座っている様は狂ったように面白い。(上書きするビデオテープ論争も、結局ホワキンの『水着の美女』が消されるオチで爆笑)
そして、極め付けに面白いのは、登場人物もカメラも照明も編集も、
終始どシリアス
ってことですね。
こちらもドシリアスギャグでは比類の無い「ウェイトリフティング」シークエンスがありますからねえ。たまりません。