男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

たかぎなおこ『浮き草デイズ』を読みました。

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先日発売された新刊『はらぺこ万歳! 家ごはん、外ごはん、ときどき旅ごはん』に登場する、たかぎさんがアルバイト時代にまかないで美味しい昼食を作ってくれた「ももせさん」。彼が登場するというので、早速読んでみました。

たかぎなおこさんの作品は大きく2つに分けられると思います。

『マラソン一年生』で大ブレイクして以降の「金銭的にも時間的にも余裕満点」の楽しい毎日を綴ったエッセイと、ソレ以前の下積み時代を描いた初期シリーズ。この『浮き草デイズ』は後者の代表作でして、殆ど何の準備もせぬまま上京したたかぎさんが、とにかくお金に困りながら将来に対する不安や上京組特有の哀しさを抱えて生きた日々が描かれています。


前者の「余裕のある日々」を読むときは、単純にその「のほほんとした日々」と「自由で楽しそうな空気」を「いいなあ」と感じながら読むのが楽しいのですが、後者の「余裕のない日々」を読むときというのは、下積みや一人暮らしや、そういった「辛い」毎日に「共感」する読み方だったり、現在の生活が安定している人なら「大変そうだなあ」と他人の生活を覗き見るような感覚なのではないでしょうか。

それぐらい、やたらと生活感とかリアリティが充満しているその日々には、同じように「上京組」としてはひたすら「感情移入」して読まざるを得ません。

2巻の最後に、「ついに」現在の成功への取っ掛かりにつながるエピソードにたどり着くあたりでは、感動してしまってジーンとしてしまうぐらいです。

画のタッチや語り口が殆ど変わらない(振り返っているというのもあると思いますが)ので、現在の「余裕のある日々」の延長線上にあるようにも思えますが、明確に「成功以降」と「成功以前」とではまったくエッセンスが違いすぎますからね。

そうそう。お目当ての「ももせさん」のエピソードは2巻に集中していて、かなり楽しめます。これを読んでから『はらぺこ万歳!』を読むと、お互いに成功した身として相対するので感慨深さもひとしおです。


『マラソン一年生』から読み直したくなりましたw


メディアファクトリーたかぎなおこさんのシリーズが、他の作品と一線を画しているのは、もちろん「担当の加藤さん」のずば抜けたキャラでしょうね。ある意味加藤さんを楽しむためのシリーズと言い切ってもいいぐらいキャラが立ちまくっていますw