男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『インターステラー』★★★1/2

実は泥臭い冒険SFだった!

実は『インセプション』の時にノーランに対しての期待値が変な方向にズレていたせいで、第一印象がかなり悪かったんですよ。後で観直すと普通に面白いんだけど。『ダークナイト』の功罪といいますか。

で、『ダークナイトライジング』の時に「ああ、ノーランってのはこういう監督なんだな」と結構腑に落ちたんですよね。良くも悪くも泥臭い映画を作る人なんだって言う。

そして、『インターステラー

タイトルからしてゴリゴリのSFっぽい題材なのがわかったので、最近の常として予告も事前情報も極力入れないまま本日IMAXで観てきました。

最近ちょっと体調が優れなくて、なんと初日に行かなかったという体たらくだったんですが、なんせ169分とか言われたら後回しにするぐらいには大人になったと思いたい。

とは言え今日も雨が降っているし体調が良くなっているわけじゃなかったんですが、観ている間は全然体調の影響はなく、観終わって電車に乗ったとたんに体調がまた悪くなるというw まあ、面白い映画ってのはそういうもんですよ。

話が前後しますが、ノーランには過大な期待はしないのがいいと経験で学んでいたおかげなのか、観ていてやたらと素直に楽しいんですよねコレが。

最初「地球が危ない」とか言われた時は、「これで?」という気もしたんですが、全体的に「俯瞰」的な視点は省いているのが面白かったんですよね。いわゆる超大作な雰囲気じゃないの。勿論お金がかかっているのは分かるし、それ相応のビジュアルがあれこれ展開してるんですけど、肌触りは一昔前のSF映画って感じなんですよ。それも『スター・ウォーズ』に便乗してバンバン乱造されていた時期のw

間違っても『2001年宇宙の旅』とかじゃない。

ノーランはもしかしたらそういうのを目指していたのかもしれないけど、どっちかというとボクは『ブラックホール』とかを思い出しましたよw ちゃんとロボットがいい味出しているし。

でね、そうなってくると、その手の映画が大好きな人間としてはたまんないわけですよ。人類を救うとか言っても、宇宙船の中の登場人物4人とかだしw

これは単純に「宇宙冒険映画」として楽しんだほうがいいんじゃないかと。5次元とか実にそれっぽいし。

もっと色んな星を冒険して欲しかったけど、訳の分からない大波が押し寄せてくる水だけの星も、「雲が凍ってる」(最高)極寒の星もビジュアルも含めて楽しかったし、映画的に都合の良い環境なのも○。

特に大好きなのは突然出てきたマット・デイモンねw

マット・デイモンってクレジットも小さい扱いだし、キャスティングされているのもまったく知らなかったので、「え? マット・デイモン?? 似てる人?」とかずっとモヤモヤしてたんですよ。でも、実はこいつが「人類のことを考えて!」とかエッラそうなことをのたまいつつ、実は自分が助かりたくて嘘をついていましたっていう、微笑ましいほどちっちゃい野郎だったので、「ああ、これはマット・デイモンだ」と。

SF映画の金字塔である『コンタクト』でもいい味出しまくっていたマケナヘーも、農夫の父親から宇宙船のパイロットへの飛躍を事も無げに演じていて素晴らしかった。

あと、アン・ハサウェイも黒髪のショートヘアーでまたまた実に好みの風体なんですよねえ。彼女が出てくると清潔感が漂って非常によい。


そういえば、重要なキャラクターであるマケナヘーの娘マーフィー。彼女の子供時代の女優さんが大きな目の人で「ああ、これがおとなになったらアン・ハサウェイになるんだな。似てる人見つけてくるもんだなあ」と思いきや、いきなりアン・ハサウェイは普通に別のキャラで出てきて、「ええ!?」ってなるんですよ。そしたら、その娘おおきくなったらジェシカ・チャステインになるんだもの。衝撃でしたよ。ジェシカ・チャステインも父親や師匠との愛憎渦巻く役どころをキッチリ演じていて大変だっただろうなあと。でも、アン・ハサウェイのキャラクターじゃないし、ふたりのヒロインのキャスティングはバッチリだったんじゃないでしょうか。

最後に一番この映画を気に入った理由は、やっぱりあのドミノみたいなロボットですよ。もともと自律型ロボットには弱いところへ、「ユーモアレベル」「正直レベル」とかいう設定があったり、イギリス人丸出しの擬人化の素晴らしさが爆発。あれが観れただけでもこの映画はお釣りがもらえますよ。マケナヘーが「ロボットだから同情の必要なし」とか言って切り捨てたくせに、ちゃっかり直して一緒にまた冒険に出発ってラストも涙なしには観られませんでした。


時空を超えて握手をするシーンで原作版AKIRAを思い出したり、スペースコロニーがまんなガンダムだったり、日本のSFの影響も多いように感じますが、結局ノーランのそういう「不真面目」な部分が大変面白く作用した傑作なんじゃないでしょうか。