男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『Chronicle』★★★

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大友チルドレンにはたまらない

全米でスマッシュヒットになった『Chronicle』を北米盤ブルーレイで観ました。

同じくPOVスタイルの傑作『クローバーフィールド』が怪獣映画にその演出スタイルを取り入れ、『REC』がホラー映画に取り込んだように、この作品では超能力モノにPOVを取り入れる事でリアリティを加味することに成功しています。

・・・

ケータイにカメラが搭載され、報道のカメラもコンパクトになった現在では、主観撮影=手持ちカメラが人間の主観をトレースしたリアリティではなく、日頃目にする機会の多くなったアマチュア映像に対してのリアリティを生み出している。

登場人物たち三人がティーンエイジャーであることが更にその「アマチュア映像」のリアリティを保持しつつ、「青春」の鬱屈や無邪気さも絶妙に作品世界のリアリティに取り込んでいる。

と、

ここまでは大義名分であって、監督及び脚本家(原案は二人の共同)の狙いはそこにないことは明白。

つまり、この作品は『AKIRA』を観たアメリカのオタクたちが大人になった現在、CGIの発達にともなって「あれを実写でやりてえ」という実にピュアな創作動機に根ざしている。そして、それを極めてスマートな手法で実現させていることこそ評価されるべき作品になっている。

ボールを自在に動かすことから見せていき、だんだんと動かす対象を肥大させていく事で説得力をもたせていく語り口も巧いし、何より超能力を「念動力」=テレキネシスに絞ったのも懸命な判断。
スティーヴン・キングが『クリスティーン』で、大友が『AKIRA』でモチーフにした「何をやってもうまくいかない青春カーストの最下層に力を持たせる」という手法に加えて、従兄弟と友達にも力を備えさせてのバトル物風な人物配置もアメリカらしい設定だ。

POVで問題になるカメラワークの単調さも、超能力そのものでアクロバティックに動かしたり、クライマックスでは現代に溢れかえっているケータイカメラや公共のカメラなどなどを巧みに駆使してバトル物に不可欠な素早いカッティングも実現させている。

それにしても一点豪華主義のようにクライマックスで大爆発する超能力バトルは白眉で、そのストーリーテリングこそこの作品が成功しているポイントだろう。


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