『13日の金曜日』を読みました
翻訳者の力
読み終わったのはかなり前だったのですが、書きそびれていたので。
寝床で何気なく手にとって読み始めたところ、スラスラスラアっとあっという間に半分近くまで読んでしまい、次の日には読み終えてしまいました。
勿論内容が映画『13日の金曜日』一作目のまんまということもありますが、よくよく考えると翻訳の大森望氏の力も大きかったのではないかと思いました。それぐらい淀みなくテンポのよい、リーダビリティの高い翻訳でした。今まで翻訳者の人のことはあまり意識していなかったのですが、やはりただ翻訳するのではなく、文章力というものが大きく影響するのは当たり前のことなんですよね。と言うことは今まで読みにくいなあと思っていた翻訳小説なんかも、翻訳者の力量不足だった可能性もあるわけで。
まあ、それはいいとして。
『13日の金曜日』のノベライズ。
ずっと以前から気にはなっていたのですが、当然今では絶版ですので、図書館で取り寄せてもらって借りました。創元推理文庫から出ていたりしてホラー小説のノベライズとしては何となくイメージが違いますね。もっとも表紙などは『13日の金曜日』らしい装幀になっています(ただ、ブルーレイのジャケットもそうですが、無理やりホッケーマスクを描くのは止めましょうよw)。
一作目は今更書くのもアレですけど、殺人鬼はジェイソンではありません。したがって、映画では一人称などを利用してクライマックスまで殺人鬼が姿をあらわしません。そういう意味では「フーダニット」というミステリーのジャンルに属することもできます。と言っても登場人物の誰かが謎解きをするわけでは当然無いんですけど。
という訳で、構造上小説に向いており、そこら辺は素直にノベライズしています。
このノベライズは1987年に出版されたということで、映画のほうで言えば、我が愛する『ジェイソンは生きていた!』の頃ですよ。すっかり世間的には『13日の金曜日』=ジェイソンであり、もはや真面目にホラー映画として観ている観客もすくなくなっている頃といっていいでしょう。そんな時期に、ある意味正統派な一作目をノベライズしたってのはなかなか粋な仕事だと思いますねえ。
そういえば、殺人鬼が主人公になっている『悪魔のいけにえ』や『ハロウィン』、『エルム街の悪夢』なんかはノベライズされているのかなあと思って調べてみたら、
1作目と3作目をメインにノベライズされているようですね。光山昌男翻訳ってのがアレですけどw
アメリカとかだったら『悪魔のいけにえ』ぐらいノベライズされていないのかなと思うんですが、ざっと探してみてもコミックぐらいしかないですねえ。