『陽はまた昇る』
役者たちの饗宴を堪能
以前ビデオでも観ていたのですが、今回日本映画専門チャンネルで待望のハイビジョン放送があったので再見。
角の丸いところまで収録された上下黒味丸出しの完全ノートリミング収録に感激。これが良い仕事か手抜きかは別にして、ノートリミング・マニアとしてはこたえられない。ふふふ。
お話はVHSが発売されるまでの紆余曲折で、当時の企画争いの後半戦を知っている人間にとっては非常に興味深いものです。作り自体はドキュメンタリックにすることなく、ベタなぐらいの正攻法な構成で描かれているが個人的に二重丸。ドキュメンタリーなら元になった『プロジェクトX』で十分楽しめますからね。
というわけで、ドラマティックな描き方を選択したところで注目すべきなのは、ベテランが勢ぞろいした役者さんたちの饗宴。これはもう贅沢なほど堪能できます。
西田敏行は言うまでも無いですし、大卒上がりで本部と板ばさみになる儲け役の大久保を演じる渡辺謙も抜群。本部には僕の大好きな津賀山正種がいるし、松下幸之助を演じる仲代達也の貫禄十分の芝居も絶品。よだれジュルジュルもんですよ。
そういえば、松下幸之助に直訴してVHSを松下の工場で見てもらうシーンがあるのですが、あそこで再生スイッチを押すとすぐに画像がモニターに映るんですよ。試作機だからなのかもしれませんが、初期のM型ローディングは再生ボタンを押してからテープをヘッドに巻きつけるので、再生には時間がかかるはずなんですよねえ。βのU型ローディングはテープを挿入した時にテープをヘッドに巻きつけるので、ボタンを押したらすぐに再生が始まるんですけどね。ははは。
それにしても、HD DVDとブルーレイの企画争いがすぐに終結したのはうれしい限りです。ベータとVHSは長かったですけどねえ。まあ、実際には僕の物心ついたころはVHSの一本がちでしたけどね。でも、ハイバンドβ一号機を購入した人間としては、あの争いはイチイチ面白かったのも事実です。βの持つマシーンの魅力は魔物でした。HD DVDには残念ながらそういう魅力はなかったもんなあ。
デアゴスティーニは『週刊家電』をぜひ発売してほしい。絶対買うから。