男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男 [DVD]

ドラマとミステリーとシチュエーション・ドラマの見事な融合

スターチャンネルHV

1957年の作品で、シドニー・ルメットの劇場用デビュー作。学生の頃に観て、あまりの面白さに驚愕したのを覚えています。それ以来何度も観ていますが、今回はかなり久しぶりでした。
アップやパンフォーカスが多用される室内劇の濃密な空気が、HDクオリティによってきめ細かく再現されていて圧巻です。左右に黒みの付いたヨーロッパビスタサイズでの放送にも驚きでした。早くBDが発売されて欲しいところです。
シドニー・ルメットの演出はテレビの演出から抜け切れていない箇所も多々あるのですが(CMを意識したような無意味な盛り上げとか)、レジナルド・ローズのシナリオがとにかく素晴らしくて圧巻です。余計な説明台詞が入らない、「観客を信じている」ブリが最高。ミステリーとしての盛り上がりと、キャラクターの変化などのドラマがモノの見事にシンクロしており、どっちも不可分なところが凄いです。陪審員制度がこのシナリオのために作られた上質のフィクションかと錯覚してしまうほど絶妙。
また、ヘンリー・フォンダは言うに及ばず、各陪審員に扮した12人の役者が全員素晴らしく良い仕事しているのも重要。リメイク版が同じシナリオなのにイマイチ盛り上がらないのは、やっぱりこの役者陣の力におうところも大きいのではないでしょうか。