男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『キック・アス』の感想をいろいろ読んでみました(ネタバレあり)


毎日バカみたいに『キック・アス』ばっかり観ているんですが、ネットでみんなどんな感想を書いているのかと思っていろいろと読んでみました。

<コバルトの地平線、燃え尽きるまで>

ヒット・ガールに救出され、命からがら隠れ家に逃げ込んだデイヴ君は、顔を洗うために洗面所を借ります。鏡に映る、凄惨なリンチでボロボロになった自分の顔を見つめるうちに、彼の目は猛々しい怒りに爛々と輝きだします。このシーンが僕には本当に印象的で。

デイヴ君は、別に自分が酷い目に遭ったことに対して怒っているわけではないんですよね。彼が怒っている対象は、「悪」そのもの。これまでも、そして放置しておけばこれからも、どこかの誰かをこんな顔にしてしまうであろう、どうしようもなく下劣な「悪」の存在。彼はそれに対して、心の底から憤っているんです。

あそこは名シーンですよね。高ぶる音楽といい、黙々と”武装”していくヒットガールとのカットバックといい。激燃えでした。


<デジタルネイティブが生んだスーパーヒーロー:キックアスが計らずも'10年最高レベルに熱かった件!>

そんな彼が「パリスヒルトンに憧れて真似してる女の子はいっぱいいるのに、スパイダーマンに憧れてスーパーヒーローやる男がいないのはおかしくね?」という非リア極まりない理由でスーパーヒーローになることを決意!もう脳みそが童貞。

あはははは。

スパイディと違って大いなる力も何も持っていないただのボンクラのデイブ君は「大いなる力がないからといって、責任から逃げていいわけではない」と悟って社会化する。等身大で感動的な場面だ。


そうそう。あのセリフはいいですよねえ。

銃弾避けるのにスローモーションを使ったりといった小細工なんぞいらねぇ!


そうそう、スローじゃないんですよねえ。あの”弾丸避け”は燃えまくりです。俯瞰とクローズショットと二回も避けますし。


<CLUB GALAXYさん>

「神経が麻痺しているはずなのに,痛かった」
と独白するに至り,私たち観客は否応なくキック・アスたちの痛みと,現実の暴力の凄惨さを思い知ることになります。


手術で末端神経が麻痺してしまって、はからずも「打たれ強い」という特殊能力を身につけたデイブですが、暴力の「痛み」は末端神経ではなく心に刻み込まれるんですよね。


<Incidents(偶景)南波克行のHP映画について私が知らなかった二、三どころではない事柄さん>

彼女の小さな体に、回転を中心としたジョン・ウー風味のアクションは、実によくなじむ。


ジョン・ウー長編第一作のタイトルは?」を鼻で笑いながら即答するミンディは伊達じゃないんですよね。『キック・アス』のアクション・シーンが他のアメコミ物とひと味違うところを書いてらっしゃいます。


<映画批評ってどんなモンダイ!さん>

本作をただのヒーローお馬鹿映画として片付けるのも惜しい。また優れたヒーロー・コメディとして片付けるのも真の評価ではないように思える。実はギャグやアクション、ダーク・ヒーローの側面だけに止まらず、どの作品にも言える映画的表現の巧さとして非常に高く評価できる作品と位置付けるべきなのではないだろうか。

同感です。


<ぼうふら漂遊日記さん>

根本で力が支配する現実の怖さと、己の甘さと無力さを骨身にしみるこの過程が、ラストのファンタジーカタルシスを楽しむための、必要不可欠な対価になってる。そういう意味で、とても倫理的な映画。

クライマックスの「燃え」と「カタルシス」を成立させるために緻密に考えぬかれていると思います。

音楽の使い方も最高だった。痛くてしんどいリアリティを、軽快なポップパンクと、ギャグ混じりの展開のスピード感で乗り切った後、本当のクライマックスには『夕陽のガンマン』! パロディ、オマージュ過剰の臭みはカケラも無く、この映画の本気がストレートに伝わり思い切り高揚させられる。

全くその通りだと思います。本当にストレートに燃える。こういう映画を常に求めている自分を再認識できて嬉しかった。


・・・


「パロディ」としてのイメージ戦略でミスリードしていますが、基本的には「正攻法な燃え映画」として作られている本作。現在の大ヒットや絶賛のレビューからなかなか効果をあげているようです。ただ、「バカ映画」「頭を空っぽにして」、そして渋谷での単館公開だったこともあって「おしゃれ映画」として捉えられている向きもあるのがモヤモヤします。

”「CUT」の世界の映画通が選んだベスト100”入は確実な本作、ぜひとも日本中でロードショーされていってほしいですね。(ボクの故郷である広島なんて2月からですって……)


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