男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『トイ・ストーリー3』


久しぶりに焦った絶体絶命


やっと観てきました『トイ・ストーリー3』。偶然にも12年前に『2』を観たのと同じ日劇3でした。以前にも書いたのですが、字幕版の2D上映が行われないと言うことなので、しかたなく3D版でした。なんで観たくもないのに3D料金払わされるのか理不尽きわまりないんですけどね。選択肢用意してくれって。

最初吹き替え版だけがドルビー・サラウンド7.1chかと思っていたのですが、ちゃんと字幕版も対応しておりロゴも流れていました。効果は他の5.1chなどと比較していないので分かりませんが、リアへの回り込みの自然さはなかなかだったんじゃないでしょうか。

TOHOシネマズで採用されている3DメガネはXpanD方式なので、重量感のあるメガネを装着するんですけど、これがメガネ人にはなかなか酷なメガネでしたよ。途中からは映画に没頭しているから気になりませんでしたけど、やっぱり素直に2Dで観たいですよ。別段3Dの効果があるシーンなんて無いわけだし。

というわけで、本編。

結論から書くと、「3作目でも凄い傑作」でした。

今回のモチーフはなんと”脱走モノ”。独裁者に支配された保育園からウッディたちが脱走するのがクライマックスでありメイン・ストーリーになります。このあたりの「分かってる」感はさすがピクサーという感じで、往年の”脱走モノ”の面白さをたっぷりと堪能できます。加えて、今までガヤとして騒いでいた仲間のおもちゃたちにもキチンと役割分担がされているのは大変素晴らしい。特にポテト・ヘッドのストレイツォ容赦せん的な大活躍は必見。想像を絶する展開に大爆笑必至。

しかも、お約束のようにクライマックスは二転三転して、どんどん「地獄」へ向かっていく構成も凄まじい。終盤の絶体絶命の危機は、「絶体絶命マニア」として久々に手に汗握らせてもらいました。


しかし、ここで終わらないのがこの映画の傑作なところ。


この映画では前2作では記号として扱われていた持ち主の「アンディ」が重要な役割を与えられており、シリーズの完結編として、『2』でほのめかされていた、「持ち主の子供が大人になった時」を正面切って描いているんですね。

冒頭から少なくなってしまったおもちゃたちという、かなりシビアな状況で幕を開けるだけあって、本当の終盤では色んな意味ではらはらどきどき。

<以下ネタバレ>



アンディと大学へ行けるウッディと、屋根裏へ仕舞われるバズたちが握手を交わす。哀しい別れがおもちゃたちに訪れるのかと思いきや、仲間と一緒に子どもと遊ぶ事を選ぶウッディが一計を案じ、ウッディが物語の途中で出会った、アンディなみにおもちゃと想像力豊かに遊ぶ女の子の元へおもちゃ全員が譲られる事になる。ここで、アンディがひとつひとつのおもちゃの説明をするんですが、それがすべてこのおもちゃたちのキャラクター設定なんですよ!! ウッディが仲間思いで誰も見捨てられない設定や、ポテト・ヘッド夫婦がラブラブという設定、可愛いやつだが実は悪の首領であるポーク(だから毒舌だったのか!)、などなど。あのキャラクターたちは全部ウッディの与えた設定に従って生きているんだと分かるあの瞬間。涙腺が決壊! それでも親友のアンディを躊躇いながらも女の子に譲るアンディが泣ける。

ボクは「別れ」が描かれるストーリーが大好きなんですが、この映画の「別れ」はなかなかお目にかかれない名シーンでした。車が走っていくショットからティルト・ダウンして転がっているおもちゃ越しになるカットはかなり頂点にくるシーンでした。この一連のシーンでおもちゃたちが一切感情を出さないおもちゃになっているところも素晴らしい。ただただ固まった無機質の笑顔なのに、感情が思いっきり観客に伝わってくる。あれこそ演出ですよね。



それにしても、バービー人形を一切の躊躇いもなく捨てるアンディ妹の薄情ぶりも大笑いでしたけどね。『2』で説得されたジェシーの立場がないぜ!

要所要所の見せ場やギャグの作り方も鉄板と言ってもいいぐらい大爆笑なのも凄くて、ピクサーもやはりこのシリーズだけは手抜きをしないんだなと安心しました。

ウッディが保育園から脱出するシーンで、清掃員の人が「なんだありゃ?」と動くウッディに気付くのかと思わせて、鏡に付いた汚れだったというシーンはお見事でした。拭き取るとそこにはウッディの姿がないという演出もスマート。


傑作。