男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間


遂に到着しました!

そして鑑賞。すでに色々とレビューがあがっているのですが、まず画質のよさにびっくりしました。もちろんDVDなのでSDクオリティなのは残念ですが、色が既存の海賊版(発売前に中止になったサンプル版)と比べて桁外れなのは当然としても、記憶にあるフィルムと比べても段違いと言っていいと思います。フィルムの弱点は退色にあるので、この点ではオリジナルからHDリマスターを作成した今回のDVDは圧巻です。リマスタリングされている音声も非常にクリアで申し分ないです。
リージョンがALLだったり、ジャケットはリバーシブルで日本仕様になっているあたり、かなり日本の購買層もターゲットになっていそうですねえ。実際にバカ売れしているそうですし。

カルト映画と言うことで色々と勘違いされている部分もあるのですが、何度観ても思うのは(誤解を恐れずに言えば)「ただ単にすごく面白い映画」と言うことでしょうか。
この映画の面白さはとても狙って作れるものではない”本気の空回り”加減なんですが、唐突に挿入されるギャグや無駄に多いエログロなどを除けば、徹底的に本気で江戸川乱歩の世界観を映画に転写しようとしている部分が面白いんですよね。あの感覚は石井輝男の真骨頂と言うか、どの作品でも根本的には”本気が空回り”しているんですよね。ただ、本気で作っているだけあって、”空回り”していようがなんだろうが、まったくバカにできない素晴らしさに満ちていて、有名な荒波をバックに舞踏する土方巽なんて身震いするほどカッコよかったりするんですよね。もっともその直後に波打ち際をおっかなびっくり突っ走るカットとかが続くから笑うしかないんですけど。
とにかく土方巽の存在が強烈過ぎる作品ですが、全編を空恐ろしいほどの真顔で演じきる吉田輝雄(あの主観モノローグは雰囲気を決定付けています)や、嬉々として”性格異常者”を演じる小池朝雄、そしてボクが一番好きな”唐突に現れて謎の開示をする”明智小五郎に扮した大木実の功績も大きいと思います。
中でも明智小五郎が(いきなり)”高笑いをあげながら”現れて、いきなり一連の謎解きをはじめるくだりは最高で、あの江戸川乱歩感は間違いなく素晴らしいと思うんですよねえ。あれだけでもこの映画が面白いって事は分かりますよ。それみろ…分かったか! んな、分からん!! もう問答無用だ、俺達はあいつを尾ける!!

輸入版とはいっても字幕も消せるので、購入手段の敷居が高いことさえ除けば絶対に購入しておいて損は無いと思いますね。多分東映からはこれからも出そうもないし……

単純に面白い映画なんだから。