男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ザ・シューター/極大射程

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

スティーヴン・ハンター原作の『極大射程』を何回も読み直して、同シリーズも同様。『真夜中のデッド・リミット〈上巻〉 (新潮文庫)』『真夜中のデッド・リミット〈下巻〉 (新潮文庫)』も死ぬほど大好きです。とっくに無くなっていますが、数年前にはスティーヴン・ハンターのサイトも作っていたぐらいです。

そんななので、今回の映画化は嬉しいというよりも正直不安のほうが大きかったです。

結果的には「惜しい!」という出来でした。アントワーン・フークア監督は『ティアーズ・オブ・ザ・サン [Blu-ray]』が個人的にかなりヒットだっただけに、本当に「惜しい」。フークア自身のアプローチは極めて硬質なモノに徹していて非常に好感が持てます。マーク・マンチーナの音楽も徹底してソリッドなビートを刻み続けるスタンスでこれもOKだと思います。シナリオも終盤までは素直な(悪く言えば無難な)取捨選択で、悪くはないと思いました。冒頭部分にダニー絡みの攻防を持ってくるのはいいアイデアですが、それなら大きく時間を割いて『狩のときの』驚愕といっていい前半のクライマックスを再現して欲しかったというのは欲張りでしょうか。(逆にこの変更のせいでシリーズ化はなくなったんでしょうね)

冒頭はキチンと狙撃手として戦うので燃えるんですが、問題は一番のクライマックスである丘での激燃え狙撃戦がまるでスケールが小さくなっているどころか、まったく狙撃をしない!! こんなのボブ・リーじゃないやい!!

それ以降シナリオもどんどんおかしくなってきて、小説の美味しいところをつまみ食いしながら、それがどれも後足しとしか思えないようなスケールの小ささで、製作側のゴタゴタとさえ感じ取れてしまいます。

残念ながら『極大射程』の映画化としては決して誉めることが出来ない映画ですが、80年代アクションを愛する人間なら結構燃えることが出来ると思います。隠遁中の主人公を軍人が訪ねてくるなんてまんま『コマンドー』ですしね。