男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ホット・ファズ

リーサル・ウェポンの予告の音楽

『フリービーとビーン大乱戦』(DVDにならないなあ)のテレビ放送版を死ぬほど何回も観てきた人間としては、映画秘宝 2008年 08月号 [雑誌]を読んで俄然観にいきたくなりました。もともとDVDの発売予定があったのですが、署名運動で劇場公開になったことは嬉しい限りです。『ショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]』が凄い傑作だったので、エドガー・ライトとサイモン・ペグのコンビ作としても注目していましたし。

公開二日目で日曜日と言うこともあり渋谷の劇場は満員でした。あれならシネコンで徐々に劇場数が増えていくことが期待できますね。

『ショーン……』がそうだったように、パロディではなくてオマージュとしてかなり出来のいい作品で、普通にコメディとして笑えるのが重要でした。何故ならクライマックスの一大アクションまでの弓の引き絞り方が尋常ではなくて、遂にそれが爆発する瞬間のカタルシスは相当なものがありました。なので、そこに至るまでのダレ場と言ってもいい部分をどう面白くするかに成否がかかっていると思うからです。その点、出来すぎな堅物警察官が田舎町にやってきてのカルチャーギャップ物*1として優れていることはこの作品の素晴らしい部分だと思うのです。

そして、さらに素晴らしいのは、トニー・スコットマイケル・ベイのMTV風演出をどうでもいいシーンにばっかり多用するギャグがやたらと面白いことです。ドアを開けるときにイチイチドアノブを回すショットが多種多様の小刻み編集でインサートされるのに始まり、容疑者の書類作成シーンで毎度ブレブレ&多重露光トニー・スコット演出で決めるあたりも大爆笑でした。

ハートブルー アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD] [DVD] (2006) キアヌ・リーブス; パトリック・スウェイジ; ロリ・ペティ
また『ハートブルー』に対する異常ともいえる思い入れとオマージュは、クライマックスの中でも最も盛り上がる部分で炸裂するシーンに限らず、主人公のエンジェルが容疑者を追って走るチェイスシーンでも演出がまんまキャサリン・ビグローのソレだったりして最高でした。それにしてもクライマックスでのアレは観客一同が「やるぞやるぞ!」と期待して、その通り炸裂するだけにたまらない盛り上がりでした。やっぱり劇場で観てよかった。

エドガー・ライトのえらいところは、クライマックスのアクション・シークエンスがちゃんと燃えるカッコイイ演出になっているところでしょうか。パロディ映画だと中途半端になってしまうだけなのですが、この映画はちゃんとやたらと燃えるんですよね。デビッド・アーノルドの音楽もやたらと燃えるし。
自宅にDVDが山ほどあるダニーが勤務中に執拗に繰り返す願望が全部”ポリス映画のお約束”ではなくて、一本一本の映画に対する抽出されたフェティッシュなのも重要で、なんちゃってオタク演出ではなく「本物のオタク」とはかくあるべしな所も二重丸でした。でなきゃ『ハートブルー』のアレをアレする名場面は成立しない!

そういえば、イギリス映画で銃撃戦を成立させるために登場する納屋の山盛り銃器類のシークエンスで、機雷が爆発するぞお! となるシーンにかかる音楽が『リーサル・ウェポン』の予告編にクリソツなんですが、あれって元はなんなんでしょうねえ。予告編用のオリジナルだとしたらエドガー・ライトもどこで音源手に入れたんだろう。

*1:ビバリーヒルズ・コップ』の逆転版。