男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ピンポン★★★1/2

宮藤官九郎脚本、窪塚主演のコンビ作の一つ…と思われがちだし、実際そうなんだけど、この映画の功績はやはり監督の曽利文彦と彼を筆頭にしたイフェクト・グループだと思う。(勿論脚本も窪塚もグッジョブ)

松本大洋の原作は大好きなので、これの実写化と聞いたときは短絡的に「大丈夫か?」だった。しかも、輪をかけて予告編の作りがあまりにも上記の二人のムードを僕に悪く植えつけていたので、全然期待できなかった。

ところが蓋を開けてみると、クドカンの脚本は原作の魂をキチンと入れているうえに、独自の遊びも馴染んでいる。
キャストはそれぞれビジュアルまでかなりのレベルまで似せている上に、それほど違和感無く映画内に溶け込んでいるのも素晴らしい。
(まあ、窪塚クンは毎度の雰囲気だし、竹中直人のバタフライ・ジョーはもうちょっと爺のほうが好みだが)
特にスマイルに扮したARATAは特筆モノの貢献ぶり。あのキャラを実写で拒絶感無く演じられたのは見事。

そして、一番重要なのはこの手の「スポ根」モノの定石をきちんと守っている上に、曽利監督独自のスタイルがそれをより上の段階へシフトアップしている点が燃える。

特にドラゴン対ペコ戦の盛り上げ方は素晴らしく、クライマックスの戦いに相応しい。
「反射速度」が売りになる卓球戦を「素人」で成立させるあらゆるテクニックが駆使されており、CGI処理だけに頼らないのは良かった(勿論CGI処理によるピンポンも高レベル)。編集とカメラワークとサウンド処理が絶妙で、

…カン!

という表現に陥りがちなところを、

!ッカン…

という具合に打ち終りのパートを巧みに利用して卓球独特のソリッドさを表現している。

あと、音楽が実に良くて、いわゆる燃えるタイプの音楽ではないのに、入るタイミングとかがバッチリ燃えタイミングなものだから、興奮させる。

青春モノとしては生活感に若干欠ける気もするが、この映画に関してはそれプラスの「スポーツの本当の意義」みたいなところを描こうとしているので、製作陣の判断は正しいと思う。

取り合えず必見。