男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

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WOWOWでの放送。
FOX作品ですが、ビスタへのトリミングではなくキチンとシネスコで放送されました。『ダイ・ハード』や『ブラック・レイン』『レッド・オクトーバーを追え!』で一世を風靡した撮影監督ヤン・デ・ボンが初めて監督進出した作品です。これ以降は盟友ジョン・マクティアナンにならうようにどんどん落ち目になっていきましたが。

当時夏公開映画としてアメリカで大ヒット。日本では正月興行でこちらも大ヒットという、往年の洋画ヒットのパターンをきちんと守った興行でした。最近は日本での公開もタイム・ラグがなくなってきましたが、遅れる映画は極端に遅くなる傾向も依然残っていますね。下手したら未公開ってのも多いし。もっとも、大作映画はよほどのことがない限りあまりずれなくなりましたが。

50マイル以上になるとスイッチが入り、50マイルを切ると爆発する爆弾と言うアイデアは、『トワイライト・ゾーン』で有名な脚本家ロッド・サーリングが手がけた『夜空の大空港』が原点だと思われます。あちらは一定の高度に達するとスイッチが入り、一定の高度以下になると爆発。ホントにサーリングといい、マシスンといい、素晴らしいアイデアを色々と思いつくもんです。
もっともこのシステムで一番有名なのは我が日本が誇る傑作『新幹線大爆破』につきるわけで、この映画も確実にこの映画からアイデアを拝借しているはずです。『新幹線大爆破』は子供の頃テレビで放送したのを観てションベンちびるほど緊張したもんですが、観直すとサスペンスフルなシークエンスは序盤で発生する正面衝突回避と、新幹線を並走させてのバーナーの受け渡しぐらいで、後は高倉健たち犯人との追っかけがメインといっていい感じです。実際にはその二つのシークエンスが異様にサスペンスフルなので結構満足できるのですが。

『スピード』は公開当時畳み掛ける演出と、サンドラ・ブロックの可愛さが大好きだったのですが、何度も観ているとシナリオが杜撰でまとまりのない印象を受けます。前半のエレベーター・アクションとか、終盤の地下鉄アクションも蛇足以外の何でもありませんし、危機の一つ一つがバラバラで有機的につながっていないのも緊張感が持続しない原因です。幕間に挿入される乗客のドラマも取ってつけたようですし、第一結構乗っている乗客で活躍するのは一人か二人なのももったいない。
犯人のキャラは知能指数が恐ろしく低く感じられ、コン・ゲーム的な駆け引きもほとんど盛り上がらない。ヤン・デ・ボンとしてはあまりそういう部分の演出は考えていないようで、盛りだくさんに詰め込んだ未消化な脚本に振り回されているという印象です。

それでも何度観ても燃えるのは、やはりマーク・マンチーナの音楽が燃えに燃えるからでしょうか。音自体は結構チープな感じではあるんですが、耳にこびりつくこと確実のメイン・フレーズをはじめ、全編いちいちテンションをあげてくれる音楽は最高です。日本ではサントラが発売しなかったのと、サントラと銘打って発売されたコンピレーション・アルバムにあのスコアが入っていないことが結構問題になってましたねえ。あの映画観て、サントラ買ってあのスコアが入ってなかったら誰だって怒るっての。


↑こちらがスコア版。激燃えだぜ!(amazon

HDクオリティとしてもかなり上等で、実写イズム溢れる作品だけに、バスや各種装備の汚れ具合が非常にきめ細かく再現されています。キアヌ・リーブスが段々汚れていく様も緻密に見えて満足のできるクオリティです。クライマックスの大爆破も凄い迫力。

↑ヒットの要因の一つであることは間違いない、これまたえっらいテンションの名予告編。ハンス・ジマーの『ブラック・レイン』からサントラを使っているのですが、あちらではマイケル・ダグラス松田優作が殴りあう場面でかかるだけの音楽を、ここまで効果的に使っているのは見事です。2分過ぎたあたりから音楽だけに映像が畳み掛けるあたりは燃え燃え。