男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ノーラ・エフロンの『奥さまは魔女』を観ました。★★★

というわけで、こんな事もあろうかと録画しておいたハイビジョン放送版を早速観ましたよ。

テレビ東京で始まったアメリカの有名なコメディ『奥さまは魔女』が面白いので、ノーラ・エフロンが作った劇場版を観ました。

まったく予備知識がないまま観たので驚いたのですが、これって単純なリメイクじゃないんですね。なんと『奥さまは魔女』を現代のテレビドラマとしてリメイクするというお話の中に、本物の魔女であるニコール・キッドマンが絡んでくるというトリッキーなシナリオだったのです(中村正風に)。確かにあの60年台のアメリカ独特の世界観を現代に置き換えるのは殆ど意味を成していないですし、翻って60年代という設定でリメイクしてもこれまたあまり意味が無い。なかなか巧いシナリオだと思います。それでいて「魔女」の描写に関してはちゃんと現代のVFXを駆使しながらも、キチンとテレビドラマ同様の「魔法=手品」感をブラッシュアップしているのもいい。特に秀逸だったのはニコール・キッドマン演じるイザベルの本読みシーン。アドリブで行こうという提案で、イザベルは魔女として本当の愚痴をいうだけでギャグになってしまうという。あのあたりはさすがノーラ・エフロンだなと感心しました。

ドラマではお母さんが魔女としてかき回すのですが、ここでもシャーリー・マクレーンが技ありのキャスティングで笑わせてくれます。てっきり魔女の役かと思ったら、そのお母さんを演じる女優という設定。煙から登場するたびに観客に媚びを売りまくるギャグが面白い。しかも、彼女の設定にももう一捻りあったりしてうまい。

そして今作ではマイケル・ケイン演じるお父さんが登場します。マイケル・ケインの相変わらず「真顔」ギャグが冴えます。『デンジャラス・ビューティー』でもそうでしたが、仕事を選ばない以上作品に対しても特に区別をつけていないマイ・ペースぶりが素敵。

ただひとつ難しかったのがニコール・キッドマンのキャスティング。オリジナルのエリザベス・モンゴメリーにかなりソックリな上に、「魔女」である説得力は抜群。でも、ノーラ・エフロンの脚本だとどうしてもメグ・ライアンの影がチラつくんですよね。キャラが「メグ・ライアンだったらもっと面白いのに」と思ってしまう。ニコール・キッドマンも頑張っているんですが、どうしてもちょっとコメディエンヌとしては天性のものが足りない。じゃあ、メグ・ライアンだったらいいじゃないと思うんですが、彼女だと「魔女」には見えないんですよねえ。これは難しいところです。まあ、ニコール・キッドマンも可愛くて十分良かったんですけどね。鼻ピクピクも完璧だったし。

本編ではオリジナルの『奥さまは魔女』の一話目が当然流れるわけですが、これが直前に一話目を観ていて本当に良かったと思わせるオマージュぶり。そりゃあリメイクするっていう設定ですからね。おまけにシットコムの撮影風景を見られるというオマケ付き。観客席の前で撮影しているんだという衝撃ね。せめて舞台のように通しでやっているのかと思いきや、本当にそのまま撮影しちゃってるんですよね。あれはすごい。どっちかというと撮影現場に観客を招いて見学させてるという感じ。あれは一度でいいから体験してみたい。できれば『ビッグバンセオリー』で。

大笑いしたのはリメイク版という設定の劇中ドラマのオープニング。ウィル・ファレルの主人公が一人で目立とうという方針なので、オリジナルを踏襲しつつ、やりすぎなぐらいサマンサ=ニコール・キッドマンの存在を掻き消してるんですよ。あれはくだらなすぎる!


エピローグでもオリジナルに対してのオマージュが炸裂しまくるので、なかなか楽しく観ることが出来ました。オリジナルを観たらぜひこちらもどうぞ。


まあ、オリジナルにある60年代アメリカン・コメディのテイストは限りなく薄れているのは残念といえば残念なんですけどね。