男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

シネスイチ板橋プログラム17『ゴーン・ベイビー・ゴーン』★★★


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『ザ・タウン』に続いて、ベン・アフレック監督の第一作をブルーレイで観ました。

元々『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本でマット・デイモンと共にアカデミー賞を受賞しているのですから力があるのは立証していたんですよね。ただ、その後の作品選びがどうにも適当というかあまり出来の良くない大作ばかりだったので、役者としてはかなり評価を低くせざるを得なかったベン・アフレック。心機一転監督業にも手を出すというのは役者にはよくあることですが、監督に転身して成功した役者が多いのも事実。

ベン・アフレックはどうやら監督としての力もあったようで、正直驚いています。

そして、セルフ・プロデュースの力もキチンと持ち合わせているようで、一作目にこういった重苦しく地味な題材を選んできた事がそれを証明しています。

撮影にジョン・トールを起用している時点である程度の出来が約束されているのもそうで、作品全体をまとめる力も相当あるとみました。編集に『ヒート』のウィリアム・ゴールデンバーグを起用している部分は、続く『ザ・タウン』のヒート愛がすでにここで出てしまっているようで笑えましたが(なのに『ザ・タウン』では起用しないという肝っ玉)。

自分では出演せずに弟のケイシー・アフレックを主演に据えていたりするあたりも非常に慎重なところ。そして、若く見られるが地元密着型の探偵を好演して、その期待に応えたケイシーも立派。

役者が監督に転ずると、当然のように良い役者をキャスティングしますが、この作品でもモーガン・フリーマンは保険として、エド・ハリスや懐かしのジョン・アシュトン(ビバリーヒルズ・コップのタガート)も実に素晴らしい芝居を見せてくれます。

お話自体は実にやるせないモノですが、ベン・アフレックの演出も抑えに抑えた新人監督とは思えないストイックさなので、爽快感などはまったくありません。それでも、役者たちのアンサンブルや、「ホラー映画もイケそうだな」と唸らせてくれる中盤のシーンも見所。イーストウッドが『チェンジリング』で垣間見せた間接的猟奇描写に近い感覚を、ベン・アフレックは早くもものにしていて頼もしい。


セリフに頼らずに、肝心の部分を映像だけで描いてみせる演出も極めて良質なもので、ホントとんだところにニューカマーが潜んでいたものです。ハリウッドの奥の深さに改めて驚かされました。


三作目『アルゴ』の日本公開も10月26日に決定して、これからも監督ベン・アフレックから目が離せません。

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