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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』★★★


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ジョー・ジョンストンの作品として考えるべきか

ってなわけで、『アベンジャーズ』予習第三弾として。これで一応関連する作品は全部観たことになりますかね。

他の作品と違って、この『キャプテン・アメリカ』は大好きなジョー・ジョンストンが監督を手がけているということで公開時から気にはなっていたんですが、結局『ウルフマン』も観ていないような人間なので、いつのまにか観ないままでした。

この作品は題材自体が第二次世界大戦に突入する直前に描かれているコミックですから、当然のように国威高揚の側面が強い(いや、それが総てといってもいい)。大体、名前からして「キャプテン・アメリカ」ですもんね。

しかし、ジョー・ジョンストンはそこら辺もよくわかっていて、そういった側面を前面に押し出しつつ、実際には「もやし少年」が薬の力でマッチョに変身→悪党どもをやっつけて美女とよろしくやる、という男の子の夢の部分を丁寧に描き出している。アメコミ映画でよく見られる批判に「ヒーローが誕生(活躍)するまでが長い」というのがあるんですが、ボクに言わせれば単独の一本の映画として考えた場合に、ヒーローが誕生する過程である前半部分にこそその映画の成否がかかっていると思うぐらいです。なのでサム・ライミの『スパイダーマン』に近いスタンスで、もやし少年スティーブンの忸怩たる思いを描く前半部分を濃密に描いているのは素敵でした。
しかも、第二次世界大戦というアメリカ人にとっては恐らく郷愁にも似た思いを抱かせる、黄昏たルックスを維持し続けているのもジョンストンの一味違う持ち味が発揮されていると思います。

その黄昏の雰囲気をビジュアルでキッチリと描いた撮影シェリー・ジョンソンとプロダクション・デザインのリック・ハインリクスがなかなか素晴らしい仕事をしていて、茶系統で統一された色彩や逆光を効果的に使った撮影が印象的です。

ヨーロッパ戦線の寒々とした描写も大変好みでした。

もっともシナリオとしては中盤以降のダイジェスト風味はいただけない。せっかく超人になったのに軍隊の中では居場所がなくて結局プロパガンダのためのショーや映画に出演するしかなくなる展開はメタ的で大変秀逸なだけに悔やまれる。

ジョー・ジョンストンらしくクライマックスでは空中戦も見せてくれたのは嬉しかった。

アベンジャーズ』でも音楽を担当するアラン・シルベストリはいかにも戦意高揚風なアメリカン・ミリタリー音楽をモチーフにしつつも、しっかりヒーロー映画としての派手さをいつもの持ち味を活かして作り上げている。『アベンジャーズ』ではどんな風にまとめるのか興味津々だ。

・・・

それにしてもクリス・エヴァンスが「もやし少年」だった時のビジュアル・イフェクツはどうやっているんでしょうかね。ガリガリの役者に顔だけのっけてるのかなあ。あれはなかなか凄かった。しかもマッチョになったら「背が伸びた」ってあたりも子供心を大いにくすぐる設定で大笑いしましたよ。