男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『竜二』★★★


竜二 [DVD]
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ショウゲート (2006-06-23)
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日本映画専門チャンネルでHD放送。
中学生の頃、ゴールデン洋画劇場で放送したのを一度観たきり、20年以上ぶりの再見。

最初に観たときの印象は「哀しい」なあというもので、終盤の商店街のシーンは何時まで経っても忘れられず、今回観た時もほぼ記憶どおりだったのでよほど強烈だったのでしょう。

(以下ネタバレがあります)


カタギになったヤクザの竜二が、最後結局家族を捨てて(捨てるって表現は間違っているかもしれないけど)、あっちの世界に戻ってしまうんですけど、それが子供心に強烈に「哀しかった」。

しかも、今回観直すと、なにか直接的な事件があるわけじゃなく、だんだんと「カタギ」の世界が窮屈になっていく雰囲気が伝わってくるんですよね。一番良かったのは家計簿をつけていた奥さんが「最近野菜が高いのよね」とつぶやいたときに、いきなり真顔でキレちゃうシーン。あそこは奥さんにも竜二にも感情移入しちゃってすごく哀しい。

演じている金子正次が抜群の存在感と「きれいな笑顔」で竜二を演じているので、なんとも言えない余韻が残る。

また自身による脚本もセリフが大変生々しく(生活感がある)リアリティがあって素晴らしい(ヤクザの時のドスのきいたセリフもいいんだけど、カタギになってからのセリフもいい)。

自主制作らしいゲリラ撮影による80年代の新宿近辺の様子が捉えられているのも資料的価値が高い。そして、映画にいい湿り気を与えています。

あと、主題歌に使われているショーケンの『ララバイ』という歌。

子供心にあの歌がすごく印象に残っていて、「竜二といえば最後にすごくいい歌がかかって終わる」というイメージが、あの商店街のシーンと共に残っていたぐらいです。

今回観直してもやはりいい歌でした。