男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『噂のモーガン夫妻』★★★

ド田舎モノとしての安定感

デビュー作『トゥー・ウィークス・ノーティス』に続いて、マーク・ローレンス監督の三作目であり現時点での最新作を観ました。主演はもちろんヒュー・グラント

もうヒュー・グラントが出て喋っているだけで見ている方は安心するんですけど、今回は少しひねって「別居中の奥さんに未練たらたら」という新境地。まあ、もともと「情けない美男子」をやらせたらこの世でトップのヒュー・グラントですから、今回も磐石の安定感。相手役のサラ・ジェシカ・パーカーがかなり疲れた雰囲気なのがアレでしたが、今回はカップルになる話ではなく夫婦の復縁ネタなので、そういう意味では絶妙なのかも知れません。また、ボクは観ていないのですが、『セックス・アンド・ザ・シティ』の彼女のイメージが強いと思うので、今回の「ド田舎モノ」としてのジャンルでの異物感は意識して作られているようです。

というわけで、実はこの映画「ド田舎モノ」ジャンルとしてなかなか楽しく出来ていまして、ワンポイントを膨らませるマーク・ローレンス脚本の面目躍如でしょうか。

殺人事件を目撃してしまったせいで、ド田舎であるワイオミングに強制的に連れてこられる都会の夫婦が、カルチャーギャップを受けながらいつの間にか癒されて心もほぐれて、夫婦愛を取り戻していく。どうです、この安定感!

ヒュー・グラントの気の利いたセリフが若干少なめなのは残念でしたが(逆に言うと『ラブソングができるまで』のセリフが99%ソレばっかりという方こそ異常なんですが)、田舎ののんびりさ加減が、当然カリカチュアライズされているにしても実に楽しい。観ていてホッとする。ド田舎モノの定番がキチンと過不足無く挿入されるあたりも、マーク・ローレンス監督の持ち味でしょうか。

もちろんマーク・ローレンスの映画はいわゆる「傑作」という類ではないので、観ている方も多少ゆるい気持ちになる必要があるんですが、それを反射的に促すヒュー・グラントの存在はやっぱり凄いなあと。