『失楽園』★★

森田芳光監督作品って感じだ

森田芳光監督はとにかく一筋縄ではいかない監督だ。ちょっと油断すると絶え間なく突拍子もない演出を織り込んでくる。この映画も基本的には「不倫」ものなんでしょうが、観るべき点はやはり森田芳光の「へんてこりん」な演出の数々。終始フォーカスの合っていないところから始めるカットつなぎや、「多分主人公の不安定な気持ち」を表しているのであろう手持ちのグラグラショットなどなど。家の奥さんなんか「不安定」って書かれた字をインサートすれば簡単なのにと、まったく正鵠を射ている冗談を言ってたぐらいです。

ただ、ボクの目的の9割は黒木瞳の濡れ場にあるわけで、そういう意味ではかなり目的を果たしてくれる「正統派」な作品だったかもしれません。ははは。

でもあれですね、「不倫」と言うのは（浮気もかな）「恋愛初期の好きで好きでたまらにゃい」状態を再体験するために行われるのがほとんどだと思うので、そういう意味では役所広司と黒木瞳の恋人同士ぶりはなかなか見ものではありました。