男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『ガタカ』

ジュード・ロウ¥ 1,859 (26% OFF)
遺伝子工学のあり方を問う問題作。
不条理、しかし美しい(2層 AVC TrueHD5.1ch)
SF:227位 (2010.09.20)
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サスペンス映画

物語を「どう」描くか。それが創作だとするなら、この映画ぐらいすべてのパートが絶妙に良い仕事をしている作品もないでしょう。すべての人間に共感を生み出すテーマしかり、SFタッチの作風しかり、全編を貫くサスペンスしかり。そして、それを描くスタイリッシュな撮影しかり、マイケル・ナイマンの心に残る音楽しかり、ジュード・ロウユマ・サーマンの完璧なキャスティングしかり。

家の奥さんは「サスペンス」が大嫌い(苦手)。予備知識なく観たこの映画には全くそういうものを求めていなかったようで、全編ハラハラドキドキして怒っていました。

この映画は何度も観ていると、この「サスペンス」要素は”物語上”ほとんど必要がないことが分かります。純粋に観客を映画から引き離さないために機能しているだけです。なので、逆に言うと適当なサスペンスだとその「機能」を見透かされて白けてしまうはずです。この映画が傑作なのは、やはりこの「サスペンス」部分がディティールたっぷりに執拗に綿密に物語に絡みついているからだと思います。こういうところは『太陽を盗んだ男』と似ているかもしれません。

とはいえ、何度も観て「サスペンス」のカラクリが分かっていても、何度でも感動できるのは、根本にある「物語」の力強さなんだと思いますね。主人公が実はたくさんの人に支えられている事が分かる終盤の展開は涙なくしては観られない。


ひょっこりこういう作品が産まれるから映画というのは素晴らしいなあとつくづく思いますね。