男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

『This is it』を観ました


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リハーサル風景と言うだけでも貴重。

去年夭折したマイケル・ジャクソンがカンバック・コンサートとして開催する予定だった『This is it』ツアーのメイキング。

SDカムで撮影された映像も混じるが、基本的には大変クリアなHDカメラで撮影された素材が元になっているだけに、映画としても見応え充分でした。

急きょ映画として構成されて完成されたとはいえ、決してお涙頂戴の内容にはなっておらず、原則として「コンサートがこうなるはずでした」と言う構成と、「マイケル・ジャクソンの貴重なリハーサル風景」を観られると言うドキュメントとして作られているのに好感が持てます。もちろん端々に「マイケルはもういない」と言う哀しみがにじみ出ていますが。

下手に入り組んだアーティスティックな構造にもしていないのは、コンサートの共同ディレクターであり今作の監督も務めているケニー・オルテガの功績だと思います。大変素直で丁寧な作劇は見事です。

5.1chロスレスで収録された音声も、リハーサルであることを明確に伝える生々しさが溢れていて、このあたりのナチュラルなデザインもこの作品の良いところでしょう。

そもそも、マイケルが口パクじゃなくちゃんと歌ってミスして途中で演出を言ったりする部分だけども、神格化されすぎた彼の人物像を親しみやすくしています。それだからこそ、途中途中に出てくるスタッフに対する謙虚な態度などに「嘘」が感じられない。イヤフォンの音に慣れなくて歌が唄いづらい事をスタッフに言う場面でも、

「怒ってるんじゃないよ、ラブだよ。L・O・V・E」

とわざわざ付け足す愛情が実にマイケル・ジャクソンらしくて好きです。あれは偽善でも何でも無くて、怒りでは何も解決しないってことをよく知っている、経験が言わせている至言だと思います。だって、あの場面どう見てもマイケルは苛立っていますからね。でも、それを怒っても解決しないし。

基本的に完成されたパフォーマンスしか残してこなかったマイケル・ジャクソンですから、こういった舞台裏が公式に映像化されるってことだけでも大変価値があると思います。すごく身近に感じられたもの。

ブルーレイは一番特典が多く収録されている上に、別ディスクではなく一枚に収められているのも重要。

殆どがリハーサル映像で構成されている本編だけに、それぞれのスタッフやダンサーの人たちのコメントを特典として収録しているのは、これも含めて完成品と言う感じです。

歌の前に流される予定だったと言う『スムーズ・クリミナル』のショート・フィルムもなかなか面白くて燃えますし。


それにしても、東京ドームで行われたコンサートに行った時のことがやたらと思い出される今日この頃、なんだか時の流れをひしひしと感じてしまいます。