男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

日曜ロードショーその1『里見八犬伝』

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京本政樹の受難がすごい

何か意識しないと映画が観られないような気がしたので、毎週日曜日は最低一本映画を観ようと思います。今晩は奥さんの要望で、角川映画の『里見八犬伝』。以前にも何度か奥さんの要望で観ていたので、以前放送していた物を録画してBDに焼いていたのが幸いしました。ただ、ファミリー劇場で放送した物を録画していたようで、超額縁状態のSD映像。さすがに「ハイビジョンになれているとキツイね」と奥さんもぼやいていましたが、すぐに気にならなくなった模様。

深作欣二監督がエネルギッシュに当時流行っていたあらゆるガジェットを詰め込んだエンターテインメントで、観ていると色々と思い出せて楽しいです。

言うまでもありませんが、基本的には全体的に”ゆるい”作りになっていて、何度も睡魔に襲われるのですが、千葉ちゃんの一挙一動が「千葉真一」そのものであったり、寺田農が仲間だったり、今では重鎮とも言うべき貫禄すら漂っている真田広之がやんちゃで若々しく暴れているだけでも楽しめる作品です。

お姫様に扮する薬師丸ひろ子が相変わらず凛としていて楽しく、深作欣二監督だけに容赦なく”濡れ場”も披露して愚息もボッキーン。

それよりも夏木マリ血の池地獄から全裸で出てくるシーンとか、縛り付けられた女性がナマ皮をはがされるとか、やたらと蛇がからみついてくるとか、妙にSMチックなモチーフが全編を彩っているのも当時の深作欣二趣味のあらわれなんでしょうか。

クライマックスの大スペクタクルに関しては合成処理や脱出の手際よさが楽しいのですが、真田広之のキャラが善悪の狭間で揺れ動く”はず”なのに、まるでためらいもなく親に弓打つ(打たせる)のも微笑ましい。

「うて!!!」


一番面白かったのはすごかったのは、京本政樹扮する犬塚信乃の受難。義理の妹から熱烈ラブアプローチを受けており、本人も相当その気になっているのですが、政略結婚の場に演し物に参加させられる屈辱。それだけならまだしも、その演し物に紛れて志穂美悦子扮する犬坂毛野(美人)が結婚相手を殺害。それだけでもパニックなのに、今度は妹が突如その混乱に乗じて駆け落ち宣言。「えええ!!!???」と戸惑っていると襖がガラっと開いて、親戚一同「おまえらなにやってんがあ!」となり、防衛のためとはいえ犬塚信乃は一同皆殺し。さらに妹はその最中凶刃に倒れて泣きっ面に蜂。もう、誰が悪いのかまるで分からないギスギスした空気の中、振り上げた拳もおろせない犬塚信乃は、何と逃亡中に元凶である犬坂毛野と再会。「おのれええ」と誰に向けて良いか分からない怒りをぶつけて刀を振るうが、そこに空気を読まない千葉真一一行が登場して「われわれは仲間だ!」と大喜び。仕方なく矛を収めて共闘組む犬坂毛野だが、結局敵に操られた義理の妹と戦うハメになって……

と言う猛烈ぶり。物語にまるで関与していないだけに、やるせなさだけが観客に心強く残ってしまうエピソードでした。


角川映画と言えばマルチメディアのはしりですが、この主題歌も当時そうとうすり込まれているようで、かかるだけで何だか童心に戻ったような気分です。