男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

バウンド

バウンド [Blu-ray]
がんばれ、シーザー!

ウォシャウスキー兄弟の名を世界に知らしめたサスペンス。

最低限の登場人物と最低限の舞台。低予算のインディーズ映画であることを逆手にとって、じっくり練り込まれたシナリオと、『マトリックス』に通じる映像センスでサスペンス映画の傑作に仕立て上げた手腕は素晴らしい。今から考えると、「クンフーのほうがかっこいいからにきまってるだろう!」のデブ弟よりも、眼鏡の兄貴の志向が強く出ているように感じます。主人公の二人がレズビアンってのもまんま。

レズビアンのベッド・シーンや、それに至るねちっこい演出が、たいへんセクシーなので二人の関係に大変説得力があるし。

また、マフィアのミッキーの描き方も緊張感がみなぎっていてお見事。拷問道具のバネ式ハサミの使い方や、バッグの鍵を開けようとするシークエンスは白眉。スローで声がエコーっていう演出もシーザーへの感情移入が半端じゃない。

一見すると二人のヒロインが主人公に思えるが、実際にはジョー・パントリオーニ演じるシーザーが主役になっており、彼に降ってわいた災難とサスペンスをねちっこく描いている作品。なので、『マトリックス』でもサイファーを怪演したパントリオーニが、しっかりと重責を担って会心の芝居を見せてくれる。最初に金がないと気づくシーンはとにかく最高で、バンジージャンプで芸人がつける固定カメラをつけてフラフラする様は絶品です。観客は憎まれ役とも言うべき(実際にはシーザーは二人にはめられた被害者)キャラクターなのに、彼に引き込まれて常に緊張感を味わうことになる。それでもやっぱり終始「気にくわない」キャラだと思い込ませるのは抜群だ。

BSフジでひょっこり放送していたのですが、恐らく日本で発売されたBDのマスターかと思われる高画質でした。アメリカでも発売されていない今作のBDも、折角日本で発売されているので観てみる価値があるかもしれません。