AKIRA [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: Blu-ray
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「悔しいか金田。悔しいってのがどんな気持ちかわかったかよ」
やっとこさアメリカから『AKIRA』のブルーレイが届きました。バンダイの戦略で全世界同時に同内容のディスクを発売する事になり、パッケージやブックレットこそ英語ですが、中身は基本的に日本版と同仕様になっている(はず)。
今回の目玉はなんといっても、24bit/192kHzで収録されたドルビーtrueHD。YAMAHAさんからも我が家のアンプでデコード可能と返事をいただいており、スピーカーもフロントの二本は何とか再生可能でした。
まあ、理屈よりも実際に聴けばすぐに
「全然違う」
とビックリします。
アニメーション版AKIRAの象徴とも言うべき、山城組の作った”ドーン”と言う音から始まるタイトルバックで、既に”音”の質が全然違います。
山城組のHPでも書かれているように、聞き比べれば直ぐにわかるので、ちゃんと再生できているようです。もっともスタート地点に立っているだけでしょうから、総ての機材をあれこれ突き詰めればもっともっと凄い音になるのは確実です。それぐらいのポテンシャルを持っている”音”でした。
が、
個人的に一番期待していたのは、『劇場公開版』音声のリニアPCM2.0ch収録でした。
これがとにかく最高でした!
やっぱり、金田のバイクが初めてスパークするシーンで、あのドーン! が鳴らないと話になりませんよ!
何と言っても遺伝子にすり込まれているのは、こちらのサウンドなのです。5.1ch化されたリニューアル・サウンドなんてボクにとってはDVD化したときの”おまけ”に過ぎないのです。製作者がどんだけ理屈をこねようが、ボクにとっての『AKIRA』は劇場公開版(正確にはビデオ化された時の『国際映画祭バージョン』)なのです。
『AKIRA』は劇場公開後、撮影のミスやイフェクトの手直しなどを行い、国際映画祭で上映されるべく最初の修正が行われています。ビデオ化されたバージョンはこちらなので、劇場公開版は厳密には当時のフィルムでないと観ることはできません。最近では再上映でもこちらのマスターは使われないはずなので貴重ですね。
劇場では5回観ていますが、やっぱりビデオとLDでの視聴回数は桁が違うので、こちらのバージョンがすり込まれているのです。
なので、サウンド・デザインもそちらでないと生理的に受け付けないですし、DVDからの英語のクレジットも「なんだ、こりゃ?」なのです。
で、映像なんですが。
リマスターをやりなおしているそうなんですが、DVDの時から思っていたように、非常にフィルムの状態が良くない。
LD時代まではそんなこと感じなかったので、おそらく(英語クレジットが用いられていることから分かるように)アメリカなどで使われるフィルムをマスターにしているんでしょう。これの質がおそらく凄くよろしくない。
カット事に極端にピントの合う合わないがあるだけでなく、フィルム傷などもかなり盛大に出てきます。HD化されたせいでセル傷も激しい状態です。
これは正直いただけません。
ただ、映画としては思い出がたっぷり詰まっている作品ですし、2時間4分(ジョーズと同じ)という上映時間の中で、どんどんどんどん展開が大きくなっていく異様なテンションは大好きで引き込まれます。
激燃える『特報』もちゃんとHDで収録されているし、『AKIRA』が好きなら絶対に買うべきディスクですね。
そういえば、原作の『アキラ』読んでない人が周りに多くて驚きます。若い人たちなんてまるっきり読んでないんですよ! まあ、あの絵は正直そんなに読みたい気にさせる絵じゃないんですけど、文化遺産級の凄い作品なので是非読んで欲しいですねえ。
何か黒澤明の映画が『芸術』扱いされて、敬遠されるジレンマに似ています。
「芸術としても一級品なんだけど、それ以前に単純にすげえ面白いんだから!!」