男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

敬愛なるベートーヴェン

敬愛なるベートーベン [DVD]

ダイアン・クルーガーが魅力的

ベートーヴェンの第九の初演前後の期間を、架空の写譜師アンナ・ホルツとの出会いを絡めて描いた作品。
第九の初演に関しては様々なエピソードが残されていますが、ボクが子供の頃に読んで以来愛して止まない伝記漫画『ベートーベン―天才的な作曲家 (学研まんが伝記シリーズ)』で最初に登場する”拍手が聴こえないベートーヴェンを歌手が振り向かせてあげる”場面は特に大好きでした。
このエピソードが本編でもクライマックに登場し、振り向かせる女性をヒロインのアンナ・ホルツに置き換えています。

エド・ハリスの演じるベートーヴェンの人間像は、神格化されたイメージとはまるで違っており、かなりボクの中のイメージに近くて素晴らしかったです。

ベートーヴェンの第九の使い方もちゃんと第四楽章だけではなく全楽章のいいところを満遍なくちりばめていて好感が持てました。

ゲイリー・オールドマンベートーヴェンを演じた『不滅の恋 ベートーヴェン デラックス版 [DVD]』ではやはり第九の初演をクライマックスにしながら、ベートーヴェンの『不滅の恋人へ宛てた手紙』に関する謎解きを絡めながら生涯を俯瞰しているのに対して、こちらは基本的には初演前後の数日と大フーガの発表までの二つに限定しているのは面白かったです。
この作品は『第九』と『大フーガ』の二作の聴衆の反応を対比させることで、ベートーヴェンの音楽が持つ先進性と普遍性を描いているのかもしれません。

もっとも、ボクはアンナ・ホルツを演じたダイアン・クルーガーがあまりにも魅力的だったので、すっかりそっちに夢中で観ていました。長いブロンドを巻き髪にしていたり、メガネをかけたり、たまりません。
ベートーヴェンに怒鳴られる場面では、思わずなみだ目になって動揺してしまう芝居が無茶苦茶リアルで感心しました。それでいて毅然とベートーヴェンに意見を言うあたりもいいですねえ。