男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]


定期的に観たくなる映画というのがあって、『ローマの休日』もその定番です。

今回は城達也=ペック版が聞きたくて、その最後の吹替えが収録されているDVDを観なおしました。といっても、ほかの吹替え版などはビデオに録画していないので、現在観なおそうと思ったらこのバージョンか原音しかないわけですが。

以前フジテレビで放送された時に、いきない俗に言う広川太一郎版だったのを録画していなかったのが悔やまれます。あれハイビジョンで放送して、しかもその吹替えバージョンに合わせるように今のご時世にも関わらず”カット版!”だったんですよねえ。

この吹替え版での城達也氏はさすがに年齢を感じさせるゆったりとしか感じがあるのですが、それでもやはりグレゴリー・ペックにぴったりです。ペック自身のとにかく素晴らしい芝居と相まって上品なコメディが堪能できます。

池田昌子さんはボクにとってメーテルですが、オードリー・ヘップバーンの吹替えでも『マイ・フェア・レディ』『シャレード』なんかはその声が刷り込まれて中々DVDなどで観直せないぐらいです(『マイ・フェア・レディ』なんかBOXまで買っているのに、TBSノーカット10週の吹替え版をDVDに焼いて観なおしているほどです)。ですが、この『ローマの休日』は最初に観たのが字幕版のビデオだったせいで、それほど池田昌子さんの声でという印象は少なかったです。『徹子の部屋』に出演されたときにも、「若さ」がなくなった今の声では難しいと仰っていました。現に何本か別の方の吹替えがあります。

調べると以下のリストがアップされていました(引用元が不明なのですが、作成された方に感謝します)。

(A・ヘップバーン/G・ペック/E・アルバート/P・カルリーニ)
1972年4月7日<フジテレビ>(池田昌子城達也山内雅人広川太一郎
1974年4月19日<フジテレビ>(1972年と同じ)
1976年3月5日<フジテレビ>(1972年と同じ)
1979年11月11日<テレビ朝日>(池田昌子城達也/木村緌/広川太一郎
1986年5月9日<日本テレビ>(1979年と同じ)
1992年12月23日<TBSテレビ>(笠原弘子津嘉山正種大塚明夫安原義人
1994年1月15日<フジテレビ>(鈴鹿千春小川真司山野史人江原正士
1996年12月8日<テレビ朝日>(1979年と同じ)
2000年5月6日<フジテレビ>(1994年と同じ)
2004年10月29日<日本テレビ>(すずきまゆみ/津嘉山正種内田直哉清水明彦)

DVD版は(池田昌子城達也大塚明夫山寺宏一)です。

ボクは
1994年1月15日<フジテレビ>(鈴鹿千春小川真司山野史人江原正士
これを観たときに、ずっと「池田昌子の声か?」とずっと判断できなくて困った事があります。それぐらい鈴鹿千春さんという方の声が池田昌子的雰囲気だったんですよねえ。あの吹替え版は小川真司もペックというよりもブラッドレイというキャラにあっていて好きでした。
ボクの大好きな津嘉山正種さんもペックを二回担当しているようで、一度聴いてみたいです。

わざわざリストにのるぐらいなぜか重要なキャラとして美容師のマリオがいるんですが、これはもう最初に広川太一郎がオカマ風に演じたのが面白過ぎたからでして、吹替えしなおす際もその時その時で旬の面白い声優さんが起用されるという暗黙の了解が。上記のバージョンでの江原正士さんもさすがの面白さでしたし、今回収録されている山寺宏一も絶妙に広川マリオのタッチを残しながら山寺っぽいという荒業を聴かせてくれました。

そしてなんといっても今回の吹替え版の目玉はエディ・アルバート演じる重要なペックの相棒のカメラマンを大塚明夫がアテていることですね。声の年齢差がさすがに感じられるものの、いつものカッコよさとは別の実に味のあるいい芝居を聴かせてくれました。すぐカッカしながらも友情にあついあのキャラをバッチリ表現しています。

しっかし、恐ろしく良くできた映画です。本当に面白くてジーンとします。すべてのシークエンスが良いんですが、ボクはやはりなんと言っても感動がピークに達するラストの記者会見(謁見)シーンの演出処理。音楽も一切入らず、一切一連の描写を省かないじっくり腰の入った展開の中で常にブラッドレイとアン王女の視線を意識させるのがもう……。
記者たちと一人一人挨拶をしたいというアン王女の部分で、ブラッドレイと最後に面と向かいたい、触れ合いたいという願望をかなえるためだけに他の記者たちはある意味利用されているとも取れるのですが、一切省略しないで最後の記者まで写すあたりにワイラー監督の人間性を感じながら、アン王女の気持ちとブラッドレイの離れがたい気持ちの空気を体感させる素晴らしい演出も味わえます。