男たち、野獣の輝き

旧映画ブログです。

Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

ユナイテッド93 [DVD]

凄まじい傑作!

ポール・グリーングラス監督は『ボーン・スプレマシー [DVD]』で、前作と同じスタンス(リアリティとシリアス路線)を維持しつつ、さらにソリッドなスタイルを貫いて独自の傑作に仕上げていましたが、彼の最新作であるこの作品は題材であるアメリ同時多発テロをこれ以上ないほど緊迫感あふれた演出で描き出した。

先ずあの日、あの時の「何事が起こった!?」感を再現する手法として、民間および軍の航空管制室の情報伝達の緊迫感を見事に再現しつつ、テレビモニターなどのニュース映像を使うことで非常に生々しい感覚を観客に呼び起こすことに成功している。
そして、最後に墜落したユナイテッド93の内部で起こった出来事を証言などを元に再現することで、乗客の一部になったような緊迫感と回りの状況に翻弄される事件の目撃者としての緊迫感が二重に高密度な緊張感を与え続ける。
加えてこの二つのストーリー・ラインを、手持ち望遠レンズの不安定な映像と観客に気を抜く瞬間を一切与えない高度な編集で常に保って描くことで、強烈な臨場感を生み出しています。当然後者のストーリー・ラインはフィクションとしての側面が強いため、それに対してのリアリティを与え続けるための手段として、前者のストーリー・ラインを事実に即して限りなくリアル・タイムに描くことに腐心していることも見逃せない効果をあげている。
それでいて、機内から無線で入った言葉をオープン・リールで解析するシークエンスなどは抜群の娯楽指数をたたき出している点も個人的に評価したいです。(「プレーンズ…」と言う言葉をリールを手回しして解明する瞬間から、一気に状況が緊迫するあたりの演出は神がかり的)
音楽のジョン・パウエルも『ボーン・スプレマシー』に引き続いていの起用ですが、この作品でも全編緊迫感満点でありながらドキュメンタリータッチを意識した前に出ないタイプのすばらしい仕事を聴かせてくれます。

それにしてもこの緊張感は半端じゃないです。実際の事件が事件だけにそれだけで十分緊張感はあるのですが、それに寄りかからずにこれだけ臨場感の溢れる演出で描いていることがとても評価できます。

とにかく傑作。