理由
WOWOWでの最初の放送のときにも録画をしていたのですが、結局観ないまま、あれよあれよと劇場公開されたりしてました。
ルポタージュという形式を採っている原作にならって、映画本編もドキュメンタリー風に構成されているのですが、そこは大林宣彦監督なので、よく言えば劇的に、悪く言えば中途半端な作劇になっています。個人的にはまんまドキュメンタリー風にするのは面白いとは思えないストーリーだったのでこれで正解だと思いますし、全編引き込まれて見続けられました(ただ、160分という時間は少し長すぎる気もしますが……)。
芸達者な役者陣も見ていて非常に楽しく、こちらもドキュメンタリーを意識した芝居というよりも演劇風な芝居を見せてくれて、やっぱりフィクションとしての一演出として原作のタッチを再構成したと感じられます。
実際の事件のドキュメントを楽しめるという意味では、なんといっても無限回廊さんにとどめをさすわけですが、ストーリー自体が意外にありきたりで驚きの無い展開なので、ドキュメンタリー・タッチなのが功を奏しているとも思えますし、実はもっと終盤の幽霊のモチーフを活かした観るもののトラウマになるようなタッチが突然展開してもいいんじゃないかなとも思いました。
ある意味高層ビルの一室によるお化け屋敷的な風味も感じられるからです。『時をかける少女』の地震が起きる直前に日本人形がガクっと動く恐怖感が出せる監督だけに、一度本格的な恐怖満点の猟奇殺人事件モノを乾いたタッチで作ってくれないかなあと思っていたので。
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/06/29
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