男たち、野獣の輝き

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Beauty Devaisethのファイナル・ファンタジー14新生エオルゼア奮闘記

セルラー

セルラー [DVD]

噂どおりの素晴らしいB級魂溢れる傑作でした。

平和なムードから一転して事件=本筋に突入する感覚からして一切無駄が無く、余計な説明は本編を進めながら徐々に織り交ぜていく作劇方が何より大好きです。観客の側も当然B級を観ているということを前提として全てが構築されているあたりのサラブレッド感が抜群です。

画面に完全保障付きのウィリアム・H・メイシーが登場した瞬間から俄然勢いが増す(衰える?)あたりも素晴らしく、しかもメイシー・フォースに頼ることなく隙あらばマンガ的キャラで一時も観客を飽きさせないように努力し続ける根性に感服します。そのくせちゃっかりメイシーにもっとも似合わないヒーロー・ショット(横っ飛びで銃を撃つアレ)を都合二回もやらせる確信犯ぶり。凄い。*1

誘拐犯にさらわれたキム・ベイシンガーが壊れた電話で闇雲にかけた相手がどうみても『スクリーム』だと序盤で殺されるタイプの若造なのに、こいつが事件が本当だと知るや捨て鉢気味のハイテンションに陥って俄然巻き込まれ型ヒーローとして奮い立つあたりの展開も握りこぶしモノの面白さ。しかもこのキャラときたら、従来の観客の知能を上回る活躍が当たり前のご時世に、常にその場のしのぎの無計画というアンチ・アイフル君だからたまらない。やっていることは『スピード』のキアヌと大して変わらないのに頼りなく見えるのが、作品的には異様なプラス。

結局状況説明を進めるためだけの活躍しかしない携帯の相手に業を煮やしたのか、ヒロインであり生物の教師でママでもあるベイシンガーが何と劇中で二人も人を殺す始末(しかもどちらも能動的に!)。主人公の若者ですら一人も人的被害を出さないのに、ヒロインが殺人を犯す映画は非常に珍しいです。

しかもこの映画95分の上にシネスコ

言うことなし。

*1:それでも限りなく弱そうなメイシーもアッパレですが。